聖和学園MF藤田晴は前半の同点ゴールでチームに貢献(写真=小林健志)

 後半立ち上がりには再び聖和学園が攻撃のギアを上げ、特に右サイドからMF石澤海陽(3年)が積極的に仕掛け決定機をつくった。そして53分、MF森玲登(3年)のクロスにニアサイドでヘディングで合わせたのはFW桃原泰河(3年)。「点数を意地でも取るつもりだったので、取れたのは良かったですが、得意な形ではありません。トップスピードでのファーストタッチが持ち味なので、裏抜けして決めたかったです」と持ち味を生かした形ではなく、やや泥臭いゴールだったが、それでもチームに同点弾をもたらした。

 その後も聖和学園は再三テクニックを生かして盛岡商ゴールに迫るも、59分に石澤のクロスからつないだ藤田のヘディングシュートは惜しくもクリアされるなど、あと一歩で決めきれない場面が続く。

 盛岡商は62分、2ゴールの原田が負傷交代となるが、ミドルシュートやサイド攻撃で虎視眈々とゴールを狙った。2-2のまま迎えたアディショナルタイム90+2分、MF髙橋頼央(3年)からのクロスを左サイドで受けたのは左SBのDF西村映瑠(3年)。「時間も無くて勝つしかないと思って、打って気持ちよく終わりたかったです」とヘディングシュートを放つ。するとボールは聖和学園GK菅井一那(3年)の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。西村の2試合連続ゴールが決勝弾となり、3-2で盛岡商が劇的勝利を飾った。

 盛岡商の中田洋介監督は「聖和さんにボールを持たれるのは覚悟していました。粘り強く守備してうまく点につながって良かったです」と試合を振り返った。

 聖和学園にボールを持たれる時間は長かったが、前から鋭くプレスに行く時と、自陣でブロックをつくる時の使い分けが機能していた。

 決勝ゴールの西村は「守備している分には、相手のドリブルが嫌で、何度か抜かれていたので最後まで粘らなければいけません」と、特に後半の立ち上がりに自分のサイドから崩される場面があったことを反省していたが、中田監督は「聖和さんと何度も対戦するなかで、我慢するところと行くところを考え、こうすればやられないというところは出せたと思います」と守備に一定の手応えを感じていた。

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