同点ゴールを決めて喜ぶ仙台ユースMF齋藤滉介(中央)(写真=小林健志)

 後半も仙台ユースの攻撃をよく凌いでいた明桜の原美彦監督は「相手がパワープレーで来ると思ったので、フォーメーションを4-1-4-1にして、中盤を3枚にしました」と中盤を厚くして逃げ切りを図る。

 しかし明桜は終盤にかけて仙台ユースの猛攻を受け始めた。キャプテンFW佐藤拓海(3年)が「相手のSBのカットインに付いていけず、マークの受け渡しが曖昧になりました」と振り返った通り、ここで存在感を発揮したのがトップチームで2種登録されている仙台ユースDF山田泰樹(3年)だった。「明桜は結構コンパクトに守ってくるチームで、サイドが空くイメージだったので、そこは全員で共有しながらサイドを使って攻めていこうという話をしていました」と右サイドからゴール前に積極的に顔を出し、決定機を作り出す。

 それでも終盤まで明桜リードで推移してきたが、アディショナルタイムも終盤にさしかかった90+3分、明桜ゴール前にカットインしてきた山田がシュートを放つ。これはクロスバーを叩いたが、こぼれ球を途中出場のMF齋藤滉介(3年)がゴールに押し込み、同点に追いついた。「あの時間帯はきつくても前に出るしかないですし、ゴールに向かって行かないと行けないなかで自分が打ったこぼれ球ですが、滉介が決めてくれて良かったです」と語った山田。劇的な形で仙台ユースが追いつき、1-1の引き分けに終わった。

 あと一歩で勝利を逃した明桜の原監督は「私のミスだと選手に謝りました。インターハイのことを考え、守り切るところでシステム変更しましたが、ゆがみが出ました」と4-1-4-1への変更と選手交代が想定していた効果を生まなかったことを悔やんだ。

 それでも7月9日の第10節・尚志戦の0-0に続き、上位相手に連続して勝点1を取れたことは、インターハイを前にして大きな収穫だと言える。「7月2日の第9節・青森山田セカンド戦で0-6で負けてから、個人じゃなくてグループでどうボールを奪うかを示しました。グループで守備を構築できたことは評価できますが、カウンターの精度、クロスの質やフィニッシュ、サブ組がゲームの流れに沿うことが課題です」と原監督はインターハイに向けての収穫と課題を挙げた。

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