都立墨田川ではMF松本太郎の鋭いドリブルが目立った(写真=多田哲平)

 頼のゴールで1点のリードを得た本郷はその後、ハイプレスを強め、相手の自由を奪っていく。ゲームの主導権を握ると、20分に右サイドでボールを受けた斎藤のクロスからMF5田所和磨(3年)が、25分には再び右サイドのクロスから高橋遼が、決定機を作った。

 ところが33分、集中が途切れた一瞬を突かれて相手FW10佐藤康多(2年)に鮮やかなロングシュートで同点弾を献上すると、ここから流れを変えられる。

 その直後の35分、左サイドからペナルティエリアに抜け出した相手MF11松本太郎(3年)を後ろから倒して、PKを与えてしまう。このPKを松本に決められ、逆転を許すのだ。

 少ないチャンスをモノにされてビハインドを負った本郷は、さらに攻勢を強めて都立墨田川のゴールに襲い掛かった。

 すると38分、敵陣中央でパスを受けた高橋隆が右足を一閃。強烈なミドルシュートを叩き込んだキャプテンが、不穏な空気を一気に払しょくしてみせた。

 そして、このゲームの決着をつけたのは、好プレーを連発していた頼だった。後半アディショナルタイム4分をまわったところで、ゴール前に上げられたFKのボールに合わせてジャンピングボレー! これがネットを揺らし、本郷に勝ち越しゴールをもたらす。頼は勝利の立役者となった。

 壮絶なシーソーゲームを制した本郷は支部予選突破を決めた。勢いを持って都大会に臨む。

 一方惜しくも敗れた都立墨田川も、ギリギリまで本郷を追い込んだその粘り強さは見事だった。特に佐藤のアイデア、松本の切れ味鋭いドリブル、DF6小島希夢(3年)のリーダーシップは目立っていた。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選
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