「セットプレーの前に周りに声をかけて、仲間を信じて前に出た」とGK1濱田優人。キャプテンの玉木は「気持ちで相手の方が上だったら負ける。自分のストロングが競り合い。あそこで負けらんなかった」と歯を食いしばった。岡本は「練習の段階から自分がキーパーのカバーに行くとチーム全体で決めていた。チームが一丸となってやれた」と振り返る。ロングスローやセットプレーへの対応を1週間かけて準備し、全員で耐え抜いた。
この勝利は、戦術の勝利でもあった。安達監督は「いつものスタイルじゃない」と語る。ビルドアップを得意とするチームが、この試合では「ロングスローと背後へのボールへの対応」に割り切った。「相手コートに入ったら絶対うちの選手の方が上手いし強い」。選手を信じ抜いた指揮官の決断が、勝利を引き寄せた。「陣地を取られてるだけ。スペースは取られてない」。その言葉に、選手たちは応えた。
「3年生が少ないチーム。でも選手権で3年生が引っ張ってくれて、3日前に『3年生がもっとサッカーやりたい』と伝えてくれた」。安達監督の声が震える。横浜商大高には約50名の部員がいる。試合に出られるのは限られた選手だけだ。「うちのサッカーをやりたくて来てくれた。ほとんどの選手は試合に出ていない。でも全員で戦った。その選手たちにも感謝」。チーム全員の想いが、この勝利を生んだ。
▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選

