試合後、西田は目を輝かせた。「1年生からAチームに帯同してて、ベスト16は初めて。同級生も応援に来てくれて、もう1段階やらなきゃいけないと自覚できた」。濱田は「日常とか練習で悪いことをしちゃったこともあった。でも一人ひとりが変わって、結果に繋がった」と、仲間たちの成長を噛みしめた。キャプテンの玉木は言葉を選びながら、こう語った。「一番うれしい勝利。点が入らないチームだったけど、この夏から意識してやってきた。リーグ戦で結果が出なくても、じれずにやってきた結果が今日だった」。

「ジャイキリとか全然思ってない。彼らは絶対やってくれると思っていた」。安達監督の言葉には、選手たちへの揺るぎない信頼があった。横浜商大高は、想いを力に変えた。涙も、悔しさも、準備も、覚悟も、すべてを。そしてその先に、新たな目標が見えている。「平塚学園、そして井原監督の分まで勝ちたい」。リベンジを果たした彼らの戦いは、まだ終わらない。秋晴れのピッチで刻まれた3-2という数字は、ただのスコアではない。50名全員の、高校サッカーへの想いそのものだった。

     

(文・写真=西山和広)

▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選