勉強とサッカーの両立するなか、温かく応援してくれる母がいる一方、勉強に専念してほしいという父。しかしそんな父が試合前日「あした、行くからな」と言ったそうだ。息子としては嬉しさより戸惑いが強かったはずだ。父はいままで一度も試合を見に来たことがない。その父が観戦に来るという。これは力が入らないわけがない。
「3年生にとって最後の選手権。大学に入ってサッカーをやらないかもしれないのできょうが最後の試合になるかもしれない。「ありがとう」という言葉も大事ですが、恩返ししないといけない。負けて惜しいとか、感動する試合だったねと言われるより、勝って喜ぶ姿を見せること、それが一番の恩返しになります」そんな強い思いでMF11大木は円陣を組み、チームを鼓舞した。
この日、チームの勝利に大きく貢献したMF11大木。その雄姿をそっと見ていただろう父は息子を誇らしく思い、家路に着いたはずだ。
(文・写真=佐藤亮太)
▽第104回全国高校サッカー選手権東京予選
第104回全国高校サッカー選手権東京予選

