部活か受験か。岐路に立つ高校3年生ならではの悩みはGK1横溝だけではなかった。MF8大重も同じだった。

 インターハイ終了後、6、7月と受験勉強にまい進すべく、休部した。それでも戻ってきたのは蔵森紀昭監督の言葉が後押しとなった。「(蔵森監督から)人生の選択肢に迷ったとき、難しい方を選んだほうがいい、そう言われました。親は勉強してほしいと思いますが…人生は一度きりですから、両立を選びました」。

 酷暑の8月中頃、練習に参加したMF8大重。しかし体力はすっかり落ち、何もできなかった。「本当にみんなに迷惑をかけました。それでもみんなが受け入れてくれました。だからこそ選手権で活躍したかったです。今日は守備陣が頑張ってくれたので最後になにかしないと思いましたし、女子の応援が多かったので余計に決めないと(笑)」

 GK1横溝、MF8大重のエピソードからは温かいチームの雰囲気の良さが伝わった。主将のDF4木原が「次が山場」と腕をまくる、その相手は早稲田実業

 「こうなったら1月まで続けよう」。意気あがるDF4木原、GK1横溝、MF8大重の3人だった。

(文・写真=佐藤亮太)

▽第104回全国高校サッカー選手権東京予選
第104回全国高校サッカー選手権東京予選