ゲーム戦略の立案に秀でた山梨学院(山梨)の長谷川大監督の面目躍如だった。

 決勝の相手である青森山田(青森)は「10回戦って1回か、2回勝てればいいと思うような強豪」であり、「その1回が今日になるように、どう戦っていくかということを準備して臨んだ」と語っているが、その一手が何とも振るっていた。

 ‟奇策”といってもいいだろう。青森山田のキャプテンで、CBの藤原優大(3年)にマンマークをつけ、最終ラインからのボールの出どころに蓋をしたのだ。「青森山田の出発点はやはりCBの藤原君なので、そこにマンマークをつけることで、藤原君のボールタッチを極力抑え、ゲームに参加させないようにしたかった」とそのねらいを明かす。

 SBの攻撃参加をけん制する意図もあった。CBの藤原にピッタリとひとりがついているので、左SBのタビナス・ポール・ビスマルク(3年)が上がってしまうと、そこが1対1になりやすく、相手にしてみれば判断に迷うような状況を作り出す。実際に、CBの藤原がこう戸惑いを口にしていた。

 「CBにずっとマークがつくというのはなかなかない。どうしたらいいか、すぐに頭が回らなくて、コーチにアドバイスを受けた。それで、自分のプレーを取り戻せたという感じがあった」

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▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権