奈良クラブユースの内野智章監督(提供=奈良クラブ)

―――難しい問題ですね。学校としても、内野さんとしても、周りから注目されるためにも選手がプロに行くということが必要だった部分もあったと思いますし。

 それはあります。学校のブランディングだったり。良い選手に一人でも多く来てもらいたいという戦略の中で、そういうブランディングも確かにあったんですが、だいぶ厳しいことを言ってきたし。奈良クラブに来てみて、そうしなくても川井や関口なんかはプロになっている訳なので、もっと他のやり方があったなと思います。

 本当に大学に行った選手の方が充実しているので。それもまた結果論なんですけどね。大学に行かせた選手がプロになれなかったら、プロに行かせればよかったと思うんでしょうけど、それぐらい高卒でプロに行った選手たちが苦しんでいるので。それでもいい経験でしたと言えるぐらい、プロに行った選手たちは頑張っているから、僕の大きなお世話なのかもしれないですけど。大卒Jリーガーの方がプロで試合に出ているし、大学で色んな経験をして、成長して大人になって、プロの世界に行ってるので。

 一種の強迫観念に駆られていましたね。この選手はきっと高卒でプロになっちゃうから、高校の間にできるだけ色んなことをさせないと、プロに行って潰れちゃうと。

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