躍進を目指して日々練習に励む(写真=多田哲平)

 でも部活と違って勉強をするのは「当然」なんです。彼らは開成というブランドを選んで入ってきた。自分の知的好奇心を満足させ得る環境だと考え、そして大学進学や将来を見据えたうえでね。入りは親や塾の先生に言われたからかもしれないけど、ここに来たからには、この環境を最大限活用しなくてはいけない。

 ここは本当に質の高い授業が受けられます。私もたまに他の授業に顔を出すんですが、本当に感心しますよ、「こんなに面白い授業を学生時代に受けていたら、もう少し頭が良くなっていたかもな」と(笑)。それほど開成の先生は教えるのが上手いんですよ。そういう環境を生徒たちは勝ち取っている。いわば選ばれし300人、400人なんです。こういうことは、おそらくこの学校を出てから実感するんでしょうけどね。

――当たり前に勉強をする習慣は、どう身についていると思いますか?

 開成に入る前から塾に行っている子が多いので、小学校時代から習慣化しているんでしょうね。もちろん中には勉強をさほどせずとも、できてしまう地頭の良い子もいます。ただ歴代の優秀な子たちに共通しているのは、その日で授業の内容をその授業の中で完結していることですね。これまで「評点オール10・校内成績1番」という生徒がサッカー部でもいましたけど、そういう子たちが口を揃えて言うのは、「授業で分からないことは昼休みでもなんでも使って先生に質問攻撃をして、納得するまで家には帰らない」と。目的を達成するために明確な道筋を作り、そこに一切の妥協をしない生徒が多いですね。

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