開成のユニホームは校旗と同じ朱赤に(写真=多田哲平)
――では最後に、サッカー部の今後のビジョンを聞かせてください。
勉強では日本のトップクラスですから、サッカーでもトップクラス、つまり日本一になりたいなと。究極の目標です。中学は全国大会に手が届くところにいて、その目標が見え始めています。生徒には「勉強でナンバーワンの学校がサッカーでナンバーワンを取ってはいけない法律はないよな。なら、そこに向かって努力しようぜ。君たちにはその可能性があるし、その才能があるんだから」と言っています。
開成は150年の歴史でずっと朱赤の校旗を掲げてきました。サッカー部のユニホームはそれを模した朱赤で、胸にはペンと剣の校章があしらわれています。その“ペン剣刺繍”に手を当てて校歌を歌えたら、こんなに幸せなことはないですね。
――素晴らしい目標です。
はい。そして、その目標に達した時にお洒落に振る舞える人材を育てたい。鼻高々になるのではなくて、開成らしく「サッカーも勉強も頑張っています」と謙虚で前向きな人間に、なってほしい。考え方や価値観は人それぞれですが、人間として大切なものは変わりませんから、そのベースを持ちながら勉強とスポーツに打ち込むのがうちのスタイルです。
元日本代表監督の長沼健さんが言っていましたよね、「サッカーは1人の王様と10人のドアボーイである」と。高慢な王様だとドアボーイはドアを開けてくれませんが、家来のことを考えている王様にはドアをサッと開けてくれるものです。そしてドアボーイ時代に献身的に働いていれば、いざ自分がボールを持って王様になった時に周りのドアボーイが開けてくれるようになる。また王様になった時のために、ドアボーイも武器を研いでおかなければいけないんです。