池谷監督は壮大な目標を語った(写真=多田哲平)
――勉強とサッカーで1位を取るのは目標であって、あくまで目的は人を作ることであると。
目配りや気配りができる人には人が寄ってくるもの。開成サッカー部に素晴らしい人がいれば、さらに人が集まる。私はよく言うんです、「人が環境を作り、環境が人を作る」と。自分たちが良い環境を作れば、そこに人も寄ってくる。そしてその環境でまた素晴らしい人が生まれる。そういう循環なんだと。だからその環境を作ってくれた先輩に感謝をしなくてはいけないし、後輩のために良い環境を残してあげるんだよと。学科の先生は知識を与えてくれるので、私はサッカーというツールを通じて人間としての核の部分にアプローチしていきたい、そう考えています。
――可能性の大きな人材を育てているわけですからね。
こんなに責任のある仕事はないですよ。日本を変えられたらいいですよね。この学校は日本を変える力を持っています。日本は文武を両立して成功している人って本当に少ないと思うんですよね。もちろんいないわけではないんですが、「文武両道、日本になし」と、そんな風潮がどこかにある気がしています。サッカーと勉強、どちらかだけに打ち込むのも良いことなんだけど、両方ができて社会に貢献できる人が日本の土壌では少ないのではないかなと。
でも開成にいる子は、そこを突き抜ける可能性を握っていると思うんです。そういう子たちにどう刺激を与え、どう日本を変える人材に育てるか。勉強とスポーツの両方で突き抜ける子が何人も出てくれば、それがスタンダードになってくる。文武両道は当たり前、それが自然と日本の水準になってくれたらいいなと。
(文・写真=多田哲平)