名古屋練習風景(写真=森田将義)

 第102回全国高校サッカー選手権で文武両道のチームとして話題を集めたのが、名古屋だ。国公立大学への進学を目指す中高一貫コースの生徒の多くが受験のため、夏で一足早く引退する中、最後までサッカー部に残った部員は9人。選手権での活躍をきっかけに北海道コンサドーレ札幌への加入をつかみ取ったMF原康介以外は、難関私学大学の進学をつかみ取った。中には共通テストで8割を超えた部員もいるという。

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 そうした進学事情が表す通り、サッカー部の部員全員が文武両道を貫いている。選手たちに驚くのは大久保隆一郎ヘッドコーチだ。2018年度まで現役時代にプレーした青森山田高校でGKコーチとして指導。2021年からは名古屋産業大学でGKコーチとスカウトを勤める傍ら、名古屋高の指導に当たっている。寮生の多かった青森山田とは違い、強化指定クラブのない名古屋には寮自体がない。「みんな自宅生。自宅生とか寮生といった言葉は愛知県にない。親が作ってくれるご飯を食べながら、電車で一時間以上かけて来てトレーニングしている。トレーニング前まで参考書を開いている」。

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