参考書を手に取る名古屋の選手たち(写真=森田将義)

 指導し始めた当初は「自主練の時間がもっと作れないのかなと思っていた」と戸惑いもしたが、指導を重ねるうちに進学校ならではの強みも感じている。「名古屋の子たちはミーティングで言ったことが頭に全部入っている。頭が良い分、話を凄く聞いてくれる。昨日と言っていることが違えば、『昨日はこう言っていたのですが、どういうことなのですか?』と聞いてくることもある。頭でまず理解してから身体で体現する。順番が整理されている。サボる選手が本当にいない。サボる時間は強くなるためにいらないでしょうとみんなが理解している。そこは本当に指導しやすい」。

 実際、サッカーと勉強の二兎を追う部員が多い。「サッカー部の中では勉強は得意な方だと思う。得意な数学の偏差値は70ぐらい。3年生になっても最後の選手権まで続けたいので、下級生のうちから勉強を頑張っている」と話すMF川瀬陸(2年)もその1人だ。

 練習が終わって家に帰るのは21時過ぎ。夕食を食べて入浴を済ませると、いくら頑張っても机に向かうことができるのは22時からと勉強できる時間は限られている。そのため、約1時間かかる通学などに単語帳を開くなど隙間時間を活用しているという。川瀬は勉強のコツについてこう明かす。「英単語は短い時間で何回も繰り返す。1ページを長い時間見るのではなく、1ページで1分のサイクルを繰り返すと覚えやすい。あとは授業の間の時間も最初の3分ぐらいは授業の振り返りをしています」。

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