私が今回執筆した「サッカーがもっと楽しくなる40のヒント ~なぜカメはウサギに勝てたのか~」では、1章が「自分との付き合い方」、2章が「仲間との付き合い方」という章のタイトルになっていて、自分自身やチームメイトとどう柔軟に付き合っていくかをまとめました。そして3章「未来を創り出す」と4章「考え方を変えてみる」では、捉え方を少し変えて新たな視点をもつことで成長につながる、そんなテーマを集めました。今後、夏休みの課題図書や推薦図書になる予定です。

 少しだけ中身を紹介すると、1章の1番初めに書いたのは「君は自分との約束を守っているか?」というテーマです。最近は自己肯定感という言葉が使われるようになっていますが、これは自分と交わした約束を守っているかどうかが影響しているように思います。

 友達との約束は守る人は多いでしょう。なぜなら、守らないと友達に迷惑をかけるし、嫌われてしまうかもしれないから。なのに、自分との約束は「ま、いっか」と思ってすぐに破ってしまう。

 考えてみてください。誰だって約束を守らない人のことは嫌いですよね。つまり、自分と交わした約束を破っているとしたら、そんな自分を信頼できなくなり、自分のことをどんどん嫌いになっていくわけです。逆に、自分と交わした約束を守り続けていれば、自分自身と信頼関係ができるのです。自分のことを信頼できている状態が、自己肯定感ではないかと思っています。

 自己肯定感は、自分が有能だと感じる「自己有能感」や、自分ならできると感じる「自己効力感」とは別物。自己肯定感は、自分の存在そのものを大切にできる感覚であって、スキルや能力とは関係ないものです。

 自己肯定感を育むうえで、他者との比較は禁物です。最近は特にスマホの普及によって多くの人がSNSで“リア充”を発信します。すると、自分より恵まれた環境の人をたくさん目の当たりにして劣等感を覚えることもあるでしょう。

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