さて、皆さんはブータン共和国を知っていますか? 決して物質的に裕福とは言えない南アジアの小国で、国策としてテクノロジーと距離を置いてきたのがこの国の特徴です。毎年国連が発表している「世界幸福度ランキング」において発展途上国ながら2013年に世界8位となるなど、『世界一幸せな国』とも言われてきた国です。

 ところが2019年度に95位と急落したんです。その理由はテクノロジーの解禁だと言われています。今ではスマホが手放せなったようで、SNSを通じて世界中の人の生活と比較することが可能になりました。比較した結果、自分たちの生活水準は変わっていないのに幸福度がものすごく下がってしまったのだと思います。

 人との比較でしか自分の立ち位置を確認できないのはとても悲しいことです。比較は自分をつまらない人間にしてしまうし、劣等感を生んでしまうかもしれない。仮に他者より上にいたとしても、その優越感が油断や慢心を生んでしまいます。本書のサブタイトルを「なぜカメはウサギに勝てたのか」としたのは、比較することが無意味だと伝えたかったからです。カメとの比較(=勝つこと)しか考えていなかったウサギ。ウサギと自分を比較することなく、目標だけを見据えて進んだカメ。好対照の両者は、この本のサブタイトルにピッタリでした。

 上か下かという評価軸しかないのは、多様性とは言えないですよね。他人と比較することによって「あいつにだけは負けたくない」とモチベーションにできる子ももちろんいますが、そうではない子も多い。他人がどうこうではなく、オンリーワンで自分らしくいることを追求してほしいです。

 今回書いた「サッカーがもっと楽しくなる40のヒント ~なぜカメはウサギに勝てたのか~」には、サッカーという競技においてだけでなく、日常生活も一体と捉えて自分らしくいるためのヒントを書いています。競技面だけでなく、日常の生活面にも強く訴えかける内容になっています。

 そして、1つのテーマが3ページの読み切りなので、気軽に読んでもらえると思います。子ども自身が読むのはもちろんのこと、指導者や保護者の方にもおすすめです。1つのテーマについて、合宿の夜のミーティングでフリーディスカッションしていただくのも効果的だと思います。また、とあるテーマについて家族で話すのもいいと思います。そういう意味で、この本はチームビルディングのツールにもなると思っています。ぜひ多くの方にご活用いただければ嬉しいです。

第1章の1「君は自分との約束を守っているか?」を紹介

「サッカーがもっと楽しくなる40のヒント ~なぜカメはウサギに勝てたのか~」
出版社:‎東京法令出版 (2023/6/1)
発売日:2023/6/1
単行本:176ページ
定価:1,320 円(消費税込み)

著者PROFILE
福富信也(ふくとみ・しんや)
1980年3月生まれ
信州大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)
横浜F・マリノスコーチを経て、2011年に東京電機大学理工学部に教員として着任(サッカー部監督兼務)
日本サッカー協会公認指導者S級ライセンスで講師を務め、Jリーグのトップチームから育成チームまで幅広い対象へのチームビルディング指導を行う。株式会社ヒューマナジー代表

【その他、福富氏の著書】
「『個』を生かすチームビルディング」(KANZEN)
「『勝つ』組織 集団スポーツの理論から学ぶビジネスチームビルディング」(KANZEN)
「脱 トップダウン思考」(東京法令出版)
スポーツで役立つチームワークの教科書(KANZEN)

協力=BRIGHTON CAFE