“タッチをしたらすぐ名前”これを訓練して出来るようになってくると、今度はボールをタッチした選手の次に誰がボールを受けるのかが見えるようになってくるんです。後手後手で追いかけていると、ゴール前の時にゴールゲッターの名前が言えない。そうすると「シュート!ゴール!」と名前を言えずに、後から映像で確認して名前を言うことになってしまいます。ですので「これはやってはいけないよ」と後輩たちには教えています。最初は怖いんですが、ゴールに向かってシュートを打った選手の名前をリアルタイムに言うのが実況アナウンサーの醍醐味ですので。

 それをやっていると実況をしながら自分もゲームの中に入っていけるんですよね。そして攻撃だけでなくボールを奪った選手の名前も言う。そうすることによって攻守が入れ替わった瞬間がそこにあったというのがわかるし、そのクサビを打つことで、後で解説者の方がゴールシーンを振り返った時に「今はこの選手から攻撃が始まった」と言うことが出来る。そうすることでゲームがより見やすくなるし、名前を呼ばれた選手本人も嬉しいと思うんです。

【次のページ】 読売テレビ 小澤昭博アナウンサー#3 「"シュート!ゴール!"はやってはいけない」(6)

【PR】第101回全国高校サッカー選手権大阪大会特設サイト
今大会の最新情報や特別企画など随時更新