それが高校サッカーの素晴らしさなんでしょうね。戦力が劣っているチームでも気持ちで何とかなる部分が高校サッカーにはあるんだと思うんです。今の時代もこれだけ戦術眼に長けてテクニックも上手になっていますが、高校サッカーの普遍的なものはあると思います。

 実況で思い出に残っている試合だと、星稜が本田圭佑を擁して国立に行ったゲームもロスタイムに最後のプレーでCKから星稜が同点に追いついて。その時は自分が実況していたのですが凄く興奮しましたね。後日、星稜の河崎監督から「最後のシーンで”打て!”って言ってたけど、あれいいのか?」と指摘されたのですが、それぐらい興奮していたんだと思います。

――後輩たちが実況を受け継いでいって、サッカーと共に実況も変化していると思いますが、そこに対してはどう感じていますか?

 高校サッカーの実況はどのスポーツよりも一番難しいと思います。野球は時間が決まっていなくてプレーも止まる時間がありますが、サッカーはボールが外に出てもすぐ戻ってきますし、時間も決まっています。大阪大会の決勝だったら80分。その80分の中に山程取材してきたことをどれだけ盛り込めるかというと限界がある。さらにそればっかりやっていると競技性の面白さを伝えきれなくなってしまう。

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