PK戦で創成館が国見を振り切り2年連続で決勝戦へ
国見 vs 創成館(写真=藤原裕久)
「選手権はやっぱり面白いですね。」準々決勝で鎮西学院を延長の末に振り切った国見の木藤健太監督はそう呟いた。苦戦の末の勝利だったが、その表情にはどこか充実感が漂う。同じく準々決勝で終盤に2失点したものの、諫早商業を4対2で退けた創成館の久留貴昭監督は、「ここからですね、こっからが大事です」と気を引き締めた。それから1週間後の11月7日、昨年の選手権準決勝でも戦った国見と創成館が諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で対戦し、体力・技術・メンタルの全てをかけた総力戦の末、PK戦で創成館が国見を振り切り2年連続で決勝戦への進出を決めた。
立ち上がりから相手の裏を狙って攻め合う両校。国見は前から中山葵・本川瑠空がサイドの裏を突き、創成館はトップの岡優希・山崎雄貴への長いボールからセカンドを拾って攻めていく。「コロナ禍での対外試合自粛期間中もプリンスリーグを戦えた国見に対して、自粛期間が長かったぶん体力的に苦しかった(創成館 久留監督)」という中で、国見が徐々に押し込む時間が増えていくが、創成館も体を張った守りでしのぐと30分にはCKから決定的なシーンを作るなど、試合は一進一退のまま続いていく。
後半に入り、国見はボールを持つシーンは増えていくものの得点源の本川に対して、創成館の角松昴樹が容易に突破を許さず決定的なチャンスを作らせない。それでもセカンドボールを回収して攻めてくる国見に対して、創成館もカウンターを仕掛けるなど、戦いは一歩も引かぬまま前後半80分を戦って0-0で、前後半20分の延長戦へと突入する。
国見 vs 創成館(写真=藤原裕久)
後半から足を痛める選手が続出する創成館だが、延長戦でも走力は衰えず、CB西元準也、GK永田健一を軸とした守備も安定感を維持したまま。一方の国見も終盤まで勢いを落とさずに攻め続けるも、良いフィニッシュの形に持ち込めず勝負はPK戦へと突入。5人中4人が成功させた創成館に対して、国見は2人が外し、創成館が2年連続での決勝戦進出を決めた。
エースナンバー8を背負う村田颯が起点となり、前線では岡が強さを見せ、最後まで西元と永田が堅守を見せた創成館。一方、北村一真が中盤底の起点となってボールを動かし、本川と中山が攻撃にアクセントを付けた国見。両校ともに県トップを争うに相応しい熱戦の末、軍配は創成館に上がった。
創成館の久留監督が「選手たちはもっと攻撃的に行きたかったろうが、バランスを崩せばやられると考えながらやってくれた」と語ったように、創成館の勝因は勝つことへこだわりだった。それは試合後に、チャンスは多く作ったと問われたときの「人数をかけて守られたときに崩しきる。そこまでが勝負すべきところ」という木藤監督の言葉からも感じられた。同時に国見の関係者をして「創成館にはPK戦でも構わないという考えがあったと思う」と言わしめた県最強GK永田がいるという安心感も強かった。
勝負へのこだわり、県最強GK永田という強み、この日の国見に足りなかった二つの強みで勝ちきるあたりに、昨年に選手権予選を制した創成館の経験値が感じられた一戦だった。
(文・写真=藤原裕久)
▽第100回全国高校サッカー選手権長崎予選
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