豊国学園 vs 嘉穂東(写真=中倉一志)

 バランスの取れた守備ブロックを敷いて試合を進めるのは白いユニフォームの豊国学園。全体をコンパクトに保ち、前後左右にスライドを繰り返して嘉穂東のチャンスの芽を摘んでいく。統一感のある組織化された守備ブロックの安定感が印象に残る。機を見てCBが高い位置に出て攻撃参加するのも特長の一つだ。守備をベースに戦いながらシュートへの意識は高く、立ち上がりから積極的にゴールを狙う。

 それぞれに特長を持ちながらも、攻守のバランスが取れた両チームは、あらゆる局面で五分と五分のがっぷり四つの戦いを展開。互いに攻めあぐねているというよりも、どこかで何かが変わればゴールが生まれる、そんな緊張感が漂う中で時間を過ごしていく。前半はそのまま35分が経過。勝負の行方は後半へと持ち越された。

 緊張感あふれる膠着状態は後半も変わらずに続いていく。ともに隙を見せない試合は早くも1点勝負の匂いが漂う。そんな試合でようやくネットが揺れたのは後半12分。ゴール前の混戦から粘る嘉穂東を制して豊国学園が押し込んだ。試合の流れから見て大きな、大きな先制ゴール。これで試合の流れは豊国学園に傾くものと思われた。だが嘉穂東はこのままでは終わらなかった。

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▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)福岡予選
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