追加点は奪えなかったが、MF篠田翼のドリブルは効いていた(写真=多田哲平)

 ビハインドの状況でも決して前がかりにならず冷静に局面を押し進めてくる武蔵越生に、昌平は少なからずチャンスを作られた。

 30分、相手FW12植田空(3年)にがペナルティエリア左からドリブルで進入を許し、35分にはゴール右ギリギリに飛んできた際どいクロスでヒヤリとさせられる。

 さらに後半に入っても、68分にMF14吉田聖流(3年)からのパスをゴール前で受けたMF6佐藤祥太(2年)に鋭いシュートを打たれ、肝を冷やした。

 そんな度々のピンチを迎えても、昌平の守備は最後まで崩れなかった。キャプテンのDF4津久井佳祐(3年)と今井のCBコンビが身体を張り、両SBのDF2武村圭悟(3年)、DF3上原悠都(1年)が運動量豊富にサイドで粘る。そしてGK上林真斗(3年)は常に集中を切らさずにゴール前に君臨した。

 藤島崇之監督は以下のように試合を振り返る。

 「選手たちがグラウンド状況にアジャストできず、思いの外やりにくそうでした。そのせいで積極性を欠いた。それも踏まえて、もっと強気にいければ良かったです。ただ勝負のところでしっかりゼロ(失点)でいくというのも、ひとつのベースだったので、そこは評価しながら、次の試合に向けて準備していければと思います」

 攻撃陣が点を取れなくても完封に抑え、セットプレーで奪った1点を守り切ったところに、昌平の勝負強さを感じさせた。

 3大会ぶり4度目の優勝まであと一勝。昌平は、6月19日の決勝で、東京成徳大深谷と相まみえる。

 一方、僅差で敗れた武蔵越生も、その戦いぶりは誇れるものだった。吉田の機敏なドリブルやFW荒関龍(3年)のポストワークを軸としたスピーディな攻撃には見応えがあった。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
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