平塚学園 vs 橘

 失点後の橘は、苦しみながらもその時間を味方につけるかのようにプレーを深めていく。森谷監督は「先制された試合は全部負けてたから、ひっくり返せるかなって思った」と打ち明けるが、心の底には“ここからだ”という確かな自信があった。

 するとエンドが変わった43分、ペナルティエリア内の混戦で倒された橘FW10波壁航希が得たPKを、MF8田中龍之介が気持ちで沈める。「あの状況でも決める未来しか見えなかった」と語った田中の瞳には、迷いのない光があった。

 同点に追いついた後の橘は、再三の決定機を作りながらも決め切れない場面が続く。46、47分と続けて田中の惜しいシュートが枠を越え、49分にはファーサイドで合わせたDF5山本大智のヘディングもゴールの外へ。試合後「チャンス作ってたけど決め切れなくて」と森谷監督も苦笑いを見せた。しかしそれでも、ピッチの上の彼らの顔には焦りの色はなかった。

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▽令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)神奈川予選
令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)神奈川予選