武南 vs 朝霞西 (写真=埼玉通信・石黒登)
試合後はあえて厳しい言葉を選んだ内野慎一郎監督だが、それもチームの可能性を諦めていないからこそのこと。「今年はしょうがないなんて俺は全然思っていないし、今年は今年のやり方がある。もちろんタレントは去年の方がいました。でも今年は真面目さだとか、頑張りだったら負けないんじゃないかなと思う。練習にストレスは全然感じないし、すごく一生懸命やってくれるから大切にしたいなと思っています」。まさに指揮官からの愛のゲキといったわけだ。
そういった中で後半はセカンドチームから昇格した選手が躍動した。MF植田彪真は新人戦で出場もあった中でBチーム落ちを経験。それでも腐らずに練習を続け、自分の技を磨いてきた。「一度落ちて自分に関わる重さみたいなものが抜けて身体も軽くなった。津島(公人)先生とかにいろいろアドバイスをもらって、ドリブルで侵入していくシーンも増えていった」。
「自分の長所はやっぱりドリブルで相手の前に入るというのと、あとは長いものも短いものも含めてスルーパスをタイミング良く出せること。前を向いたらチャンスかなと思います」。
アシストはそんな植田の良さが発揮された形。「青木も右から上がっていてどっちも見えていたんですけど、水野が縦に走った時に相手が止まったのが見えたので、もう縦しかないなと思ってスルーパスを出しました」と絶妙なタイミングの配球で水野のゴールを演出。セカンドチームでの経験をしっかりと生かしたプレーに「(セカンドでの経験が)報われた」と喜んだ。
また、途中出場から1ゴールを奪った2年生FW萩原康太やMF井原史也もセカンドから上がってきた選手。今年は公式戦が少ない中で平日から第二グラウンドでS1とS2の紅白戦を多くとり行ってきた。「セカンドにいた時はやっぱりトップを倒そうという気持ちでやっていた。その中でAとBがお互いに良い刺激になって、チーム力が向上したと思います」と萩原はいう。
昨年は1年を通してほぼスタメンが変わらなかった。今年はコロナ禍で固定化まで持っていけなかったという面ももちろんあるが、逆に言えば自由競争の中で大会期間に一気に伸びるという可能性もある。チーム内での「下剋上ゲーム」を勝ち抜き、ゴールでアピールした萩原は「学年関係なく自分を出していって、点を取ってチームに貢献したい」と意欲を燃やしていた。
記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登
▽第99回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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