U-20日本代表の西川潤(桐光学園)

 他のチームを見て行くと、青森山田の対抗馬になり得るのはプレミアリーグ勢の東福岡(福岡)と尚志(福島)。東福岡は開幕直後から怪我人を抱え、苦戦を強いられてきたが、大会直前のプレミアリーグWESTで2連勝を飾るなど調子は上向きだ。4年ぶりの優勝を狙う“赤い彗星”の柱はプロ注目のU-17代表・荒木遼太郎(3年)※後日、大会不出場が発表。チームの浮沈を握る10番は高精度のパスを中盤の底から左右に散らすが、最前線や2列目などでも力を発揮できる有望株だ。そのほかにも世代別代表歴を持つCB丸山海大(3年)や186センチの大型SBモヨマルコム強志(3年)など、個性的なタレントを有する。初戦を勝ち上がった場合は2回戦でC大阪入団内定のU-20代表FW西川潤(3年)を擁する桐光学園(神奈川1)と激突するが、前回準優勝の難敵を下せば、優勝が見えてくるはずだ。

 鹿島入団内定のFW染野唯月(3年)に注目が集まる尚志は悲願の大会初優勝に向け、期待が高まっている。高校生離れした決定力とキープ力を持つ染野は好調を維持しており、先日行われたU-18代表候補合宿でも好プレーを披露。「マークは付かれると思うけど、自分が点を取ってチームに貢献したい。1個1個勝って、最終的には目指している目標にたどり着く」と、沖縄の地での爆発を誓っている。また、FW山内大空(3年)が、コンディションを上げているのも好材料。先日行われたプレミアリーグEAST・10節の柏レイソルU-18戦では2ゴールを決めており、チームにとっては心強い。1回戦の相手は伝統校の四日市中央工(三重)。関門を突破すれば、決勝までは青森山田や東福岡などと当たらないだけに、一気に頂点へ登り詰める可能性はある。

 上記で挙げた4チーム以外では、大津や前橋育英などが面白い。また、青森山田と同じブロックに入った京都橘(京都)は、3年生に実力者を揃えた好チーム。ボール奪取に秀でたボランチの佐藤陽太や左足のキックが持ち味の高木大輝などがブレイクすれば、上位進出は十分にあり得る。

 35度に迫る環境での連戦を勝ち上がり、令和初の王者になるのは果たしてどこか。高校生たちの熱い戦いから目が離せない。

(文=松尾祐希)

▽令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)