例えば、試合後のクールダウンは自前でポリバケツを用意し、水を張って簡易プールを設置。そこに浸かり、早急に体を冷やした。また、サポートメンバーの働きも大きい。帯同していた4名と女子マネージャー1名も、チームのために身を粉にした。クーリングブレイクやハーフタイムには選手のユニフォームを乾かす作業や、ドリンクの準備を真っ先に行ってメンバーをバックアップ。応援に回った生徒たちも力強い声で彼らの戦いを後押しした。

 そうした彼らの取り組みに鈴木勝大監督も目を細め、「僕がよく眠れて、スタッフが準備をしてくれたので、安定して試合に挑めた。本当に感謝をしています」と冗談を交えながらも、フォア・ザ・チームに徹した彼らに賛辞を送った。

 その一方で指揮官自身も昨年の経験を生かしてアプローチの方法を変えたという。

 昨年も決勝まで勝ち上がったが、優勝を意識する声掛けを多くした点を悔やんだ。そこで今回はあくまで自然体で試合に挑めるように言葉を投げかけた。

 

「どうしても優勝が目の前に見えていたので、僕の声かけも優勝するぞというものになり過ぎていたのかなと。そういう意味では初戦も決勝も同じスタンスで挑もうと伝えてきたので、彼らが24時間しかない中でルーティンを変えずにどの試合でもやってくれた。それが、こういう結果に繋がった要因です」

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▽令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)