ただひとつ得点だけが足りなかった。MF佐野佑真は「ゴールという形でチームを楽にしてあげたかったんですけど、それができなかった自分のところが敗因かなと思います」と悔やんだ。
常々「見ている人が面白いと思ってくれるようなプレーをしたい」と話している国際学院の10番は、この日もボールが入れば鋭い突破や斜め45度へのスルーパスでスタンドを沸かせた。
「相手を抜いた時の盛り上がりだったり歓声はすごく聞こえていて、やっていて楽しかったし、幸せな環境だなと思えたんですけど、でもサッカーは勝負なのでそこで負けてしまったら自己満足なので、結果を出せなかったところは本当に後悔というか情けないなって思います」。
佐野日大で全国3位を経験した兄と同じ舞台を追い求めた3年間。「兄ちゃんが全国3位になった姿を見て自分もあの舞台に立ちたいという想いがずっとあって、うまくいかない時とか、自分は1、2年の時から試合に出ていたわけではなかったのでサッカーに対して情熱がなくなってきたりというのもあったんですけど、そういうのを見てきたからこそ、ここを目指して頑張れてきた部分もあるので、そこは兄ちゃんに本当に感謝していますし、もう一回親を全国大会に連れて行きたかったんですけど、本当にできなくて申し訳ない気持ちでいっぱいです」。
それでも「この高校に来て、10番をつけて、Nackとか駒場でできて、本当に幸せだなっていうふうに思うし、仲間たちにも本当に感謝しています」と国際学院での3年間を振り返った。
選手権を目指した挑戦は終わりを告げたが、まだやることがある。「自分たちも1年生の時は勝てなかったりした中で、全国大会を目指して、ベスト4で終わってしまったけど、こういう景色をインターハイと選手権で見せられた。やっぱりこれ以上の景色を後輩たちには見てもらいたいので、残り数ヶ月になるんですけど伝えられることは全部伝えて、一緒にプレーしてできることはやって、自分の出せるものを全部置いてこの高校を卒業できるようにしていきたいと思います」。初のインターハイ準決勝進出、そして2度目の選手権ベスト4入り。試行錯誤しながらも積み上げてきた自分たちが培ってきたものをすべて伝えて高校サッカーを旅立つ。
記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登