東海大仰星、自分たちの武器を存分に発揮しインハイ出場の大阪桐蔭を撃破

東海大仰星イレブン

 破竹の勢いで初の全国4強入りを果たした第95回全国高校サッカー選手権から5年。久しぶりの全国舞台を目指す東海大仰星が自分たちの武器を存分に発揮し、今夏のインターハイ出場校を撃破した。

 9月25日、プリンスリーグ関西の14節が行われ、東海大仰星は大阪桐蔭と対戦。プリンスリーグで上位戦線に踏みとどまるだけではなく、間も無く始まる選手権予選を見据えた上でも負けられない。その中で迎えた一戦でセットプレーが勝負の肝となった。

 立ち上がりの3分にペナルティエリア手前でFKを得ると、CB藤嶋凌久(3年)が右足を振り抜く。これが見事に決まり、早々にリードを奪った。この先制点がチームを楽にすると、戦い方も明確になる。シンプルにロングボールを多用して相手を自陣に押し込むと、攻撃陣も出足の鋭さを生かしてこぼれ球を回収。そこから再度仕掛けてフィニッシュに持ち込むだけではなく、何度も得意のセットプレーを獲得した。CKや FKでゴールを脅かすだけではなく、右SB竹内伊吹(3年)と左SB門田悠汰(3年)がロングスローからチャンスを演出。ニアサイドに目掛けて投げるボールを擦らす形でゴールに迫った。

 一方の守備面でも冷静に相手の攻撃に対応する。高い位置からプレッシャーをかけてボールを奪い、万が一ミドルゾーンを突破されても最終ラインの4人が身体を張った守備で対応。相手にほとんど決定的な場面を作らせずに前半を終えた。

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東海大仰星 vs 大阪桐蔭

 迎えた後半も東海大仰星は大阪桐蔭に付け入る隙を与えない。球際で厳しく寄せ、ボールを動かしてくる相手の自由を奪った。何度かサイドからクロスを上げられるシーンもあったが、GK宮本竣哉(3年)を中心に守り切ってゴールを許さない。攻撃陣もロングボールをうまく使いながら攻め込み、前半同様にセットプレーからゴールを脅かした。なかなか追加点が奪えなかったが、終了間際の86分に門田のロングスローから決定機を作る。ニアサイドでFW中務隼(3年)が相手GK藪中優希(3年)と競ると、そのこぼれ球に小和田勝也(2年)が反応。冷静にシュートを沈め、2点目を奪って試合の行方を決定付けた。

 終わってみれば2-0の快勝。得意のセットプレーから勝利を手にした東海大仰星にとって、選手権に向けて弾みが付く勝利になったのは間違いない。「前節は前から行くことができず、全く良さを出せなかった。この1週間はそこを突き詰めてやってきて、今日のゲームで表現することができたと思う。セットプレーは自分たちの武器。立ち上がりから数多くのセットプレーが取れたのも大きかった」と、キャプテンのMF松名大輝(3年)も振り返る。今年は過去の先輩たちと同じくセットプレーに磨きをかけてきたなかで、春先にフェスティバルで青森山田と対戦できた点も全国レベルの基準を知る上で大きな経験となった。松名は言う。

 「中務雅之監督も選手権でベスト4に行った時の基準でプレー強度とやるべきことを示してくれている。それをいかに表現するかがポイントだった。(その中で青森山田と対戦して)大きな差ないと思ったけど、小さな部分を突き詰めているからあれだけの力になる。小さな積み重ねが勝利につながることを知ったし、セカンドボールの回収や1対1の攻防やチームのストロングポイントを出すための立ち振る舞いは全く違いました」

 夏のインターハイ予選は準々決勝で阪南大高に敗れたが、夏以降は手応えを得るゲームも増えてきた。得点力など改善すべきポイントと向き合いながら、どこまでチーム力を高められるか。先輩たちの背中を追い続ける東海大仰星が大阪制覇を果たすべく、さらなる成長を目指す。

(文・写真=松尾祐希)

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