FC東京U-18はハードワークも光り、市立船橋FW郡司璃来に仕事をさせなかった(写真=佐藤亮太)

 その市立船橋をゼロで抑えられたのは、中断期間中の守備に注力した賜物。奥原監督が「夏場に向け、走ることを嫌がらないよう厳しくやってきた」と話すように球際の強さの担保となる全員でのハードワークを徹底させた。

 その結果、決勝点が生まれたわけだが、その数分前、奥原監督はこんな指示を出した。

 「もうひと工夫、入ればいけるぞ」

 これはFW田口に向けてのもの。実はこの時、オフサイドの判定を受けていた。このプレーを田口は「走りたいところに走っていた」と振り返ったが、その思考を奥原監督は見抜いていた。

 背後を取るのが得意な田口だが、チーム事情に伴い、最近はサイドでの起用が多かった。

 この時間帯、ショートカウンターの回数が増えたものの、FW熊田の運動量が少なくなったことを踏まえ、ベンチは田口の前線起用を判断した。一方、田口にしては久しぶりのFWに戸惑ってのオフサイドとなった。

 「少し厳しく言うとノープランでプレーしていただろうと。ただ(田口は)賢い選手なので頭を整理すればできる。なので、ズバリ言っただけ」と奥原監督。

 その賢さは、67分に投入された5分後の72分に決めたことでもわかるだろう。

 次節は首位独走中の川崎フロンターレU-18が相手。

 「ひとつのヤマだと理解している。良い準備をして臨むことに変わりはない」と奥原監督はストップ・ザ・川崎に腕をまくる。

(文・写真=佐藤亮太)

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