試合を見守るU-19日本代表候補DFチェイス・アンリ(尚志)写真左(写真=松尾祐希)

 1−1で折り返した後半はメンバーを大幅に変更。前半途中からチェイスに代わって投入された高井幸大(川崎)を除く10人を入れ替え、反撃を試みる。積極的にボールを繋ぎ、笠柳翼(長崎)、永長鷹虎(川崎)の両サイドハーフが局面を打開。コンビネーションプレーで相手を剥がす場面も増え、相手陣内でプレーする時間が多くなった。

 すると、60分だ。左SB松田隼風(水戸)のFKにFW内藤大和(甲府U-18)が合わせ、混戦となったところをCB石井大生(湘南)が押し込んで勝ち越した。これで勢いに乗った日本代表は攻撃の手を緩めず、77分には永長、78分には山崎太新(横浜FCユース)が加点。85分にも内藤がネットを揺らし、終わってみれば5−1の快勝で合宿最後のゲームを勝利で飾った。

 試合後、冨樫監督は合宿を総括し、選手たちのプレーに一定の評価を与えた。

 「(強度の高い)練習は今合宿で1回しかできなかったけど、その中でも成長があったので自分も驚いています」

 初日に練習試合を行い、翌日に週末のJリーグに出ていた選手が合流。そこからリスタートしたため、実質的には合宿3日目となる1日しか強度の高いトレーニングができなかった。それでも選手たちは課題と向き合い、今できることを最大限に発揮する作業に注力。今までの世代別代表では見られなかったリスタートに対する意識も高まり、桐蔭横浜大戦では船越優蔵コーチの指示を受けて創意工夫を凝らしてゴールを奪うシーンもあった。

 「選手たちはミーティングやトレーニングで聞き逃さず、(今回の活動を)無駄にしないという意識を持ち、良いゲームをしてくれたと思います」とは冨樫監督の言葉。残された時間はあと6ヶ月強。チームはどのような変化を見せるのか。限られた状況ではあったが、実りある4日間の活動だったのは間違いない。

 (文・写真=松尾祐希)