FKのワンチャンスをものにした宮崎日大 富山一の“空白地帯”を逃さなかった!

富山第一 vs 宮崎日大(写真=小室功)

 ワンチャンスをものにした宮崎日大が値千金の一発を決めた。

 スコアが動いたのは73分。相手ゴールに向かって左からのFKを、エースナンバーの10番を背負うレフティーの芥川蘭丸(3年)がリリースすると、そこに走り込んでいたCBの外山将大(3年)が頭で合わせた。ゾーン主体で守っていた富山一の“空白地帯”を見事についた。

 「セットプレーの練習はしているけれど、あのような形はそんなに多くやっていなかったので、(実戦で結果につながって)驚いている。芥川のボールが本当に素晴らしかった」(外山)

 ビルドアップしながら攻めきる宮崎日大のサッカーがほとんど見られず、開始早々から守勢に立たされた。朝倉大志監督も「選手たちが緊張していて、本来のパフォーマンスではなかった」と、気をもんだ。

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 公式記録のデータが試合の全体像を浮き彫りにする。宮崎日大のシュート数6本に対し、富山一のそれは15本。ただ、裏返せば、2倍以上のシュートを浴びながらも粘り強く戦っていた証でもあるだろう。「相手の時間が長く、うまくいかないことが多かったけれど、自分たちの時間になったとき、チャンスを逃さないようにしようと伝えていた」(朝倉監督)

先制ゴールを決めた宮崎日大DF4外山将大(写真=小室功)

 県内の強豪である鵬翔や日章学園に追いつけ追い越せと切磋琢磨してきた宮崎日大は2年連続2回目の選手権出場。前回大会で果たせなかった初戦突破を喜んだ。

 一方、攻撃のかなめであり、この日ゲームキャプテンを務めた中川晟(3年)を中心に終始、試合の主導権を握った富山一だが、あまりにもゴールが遠かった。シュート数が結果に反省されないという典型的な敗戦劇。今年度を最後に富山一の監督を退任し、モンゴル代表監督に就任することになっている大塚一朗監督は、次のように語った。

 「これがサッカーの難しさ。押し込んでいても負けてしまうことがある。人生にも通ずるけれど、いいときには油断せず、悪い流れのときには次に向かってしっかり準備しておく。

選手たちにはいくつになってもサッカーを楽しんでほしいし、全力を尽くしてほしい。自分自身が新たなチャレンジをすることで、そういう大切さを伝えていければと思っている」

 試合を終えたら否応なく勝者と敗者に分かれる。それぞれにとって歩むべき道がそれぞれに待っている。

(文・写真=小室功)

▽第100回全国高校サッカー選手権
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