序盤の苦戦を跳ね返した飯塚が初陣を飾る
飯塚 vs 西目
勝負を分けたのは前半の飲水タイムだった。
8月15日、全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会の2日目が行われ、福井県内で1回戦の10試合が実施された。
福岡県予選で全国制覇の経験を持つ東福岡などを撃破した全国大会初出場の飯塚は、日東シンコースタジアム丸岡人工芝グラウンド北コートの第1試合で西目と対戦。ショートパスとドリブルを多用するスタイルに注目が集まるなか、序盤は苦戦を強いられる。最終ラインからビルドアップを行うが、初の全国舞台とあって緊張から思うようにボールを繋げない。意図が噛み合わず、飲水タイムに入る前半20分まではミスが目立つ展開となった。
しかし、このブレイクを境に潮目が変わる。中辻喜敬監督から相手守備陣の弱点である「斜めの動きを入れよう」と助言を受けると、流動的な攻撃から最終ラインの背後を突く場面が増加。試合前に伝えられていた狙いを再度徹底し、2トップの髙尾流星(3年)、村越琉威(3年)も推進力を発揮してゴール前に迫った。23分には村越のスルーパスに高尾が左サイドで反応。DFの背後で受けて前にボールを運ぶと、あわやゴールという一撃を打ち込んだ。以降も積極的に攻撃を展開。「前半の飲水タイム後あたりからミーティングで話していた狙いを実行できるようになった」と高尾が振り返った通り、リズムを掴んでハーフタイムを迎えた。
飯塚イレブン
後半に入っても飯塚の勢いは止まらない。短い距離のパスで相手の目線をずらしながら、隙あらばドリブルで目の前の相手を外していく。そこから一気に縦を狙い、2トップのスピードを生かした攻撃でチャンスを作り出した。均衡が破れたのは8分。最終ラインの背後に抜け出した高尾がペナルティエリア内へ侵入し、相手GKより先にボールを触る。「パスが長くて、いつもであれば追いつけたはず。初戦の緊張感もあって足が動かなかったけど、相手のGKが前に出てきているのは見えていたので手を出すと思ったタイミングでうまく入れた」。高尾が振り返った通り、うまく収められなかった中でもPKを獲得。これを吉田龍介(3年)が決め、先制点を奪った。
以降もボールを動かしながら、流動的に仕掛けた飯塚。追加点こそ奪えなかったが、中盤以降は守備陣の奮起で相手にチャンスを作らせない。序盤の苦戦を跳ね返した飯塚がこのまま逃げ切り、初陣を飾った。
(文・写真=松尾祐希)
▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)