初の日本一を目指す大津が2018年度以来のベスト8に駒を進める

大津 vs 高岡第一(写真=松尾祐希)

 8月18日、全国高等学校総合体育大会 サッカー競技大会の3回戦が福井県内で行われ、大津(熊本)は高岡第一(富山)と対戦。前半はボールを支配しながら相手の様子を伺ったなかで、後半12分にショートCKから左SB日髙華杜(3年)が先制点を奪う。その後も落ち着いて試合を進め、終盤にも1点を加点。守備陣も最後まで集中力を切らさず、2−0で勝利を挙げた。

 大津は序盤から主導権を握り、MF森田大智 (3年)を軸に攻撃を組み立てる。しかし、横に繋ぐパスが目立ち、なかなか攻撃のスイッチが入らない。2トップの一角に入った川口敦史が個人技で局面を打開した一方で、サイドハーフの一村聖連(3年)、岩本昌大郎(3年)は足元で受ける場面が散見。テンポが上がらないままハーフタイムを迎えた。

 先制点が欲しい大津は後半に入ると、徐々に前にボールを付ける場面が増加。ボランチの位置でボールを配給していた森田も3列目からゴール前に入るなど、追い越す動きから相手陣内に侵入できるようになっていく。すると、後半12分だ。左CKを得ると、相手の準備ができていないうちにリスタート。ショートCKを受けた森田がファーサイドに入れると、MF田原瑠衣(2年)の折り返しから日髙が押し込んだ。

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 先制ゴールを奪い勢いが出てきた大津は、ボールを動かしながら相手の守備網を打開していく。川口の仕掛けに加え、192cmの大型FW小林俊英(2年)の高さも生きるようになった。25分には田原のラストパスを受けた川口が右サイドから右足を振り抜く。これが決まり、さらにリードを広げた。。

 守備陣も球際で相手を上回り、前線に入ったボールを先に触って突破を許さない。終わってみれば2−0の完勝。「本当に上手くて、全然ボールが取れなかった。CKで失点するまではGKも含めて最終ラインが身体を張ってくれていたけど、その後は難しくなり、なかなか攻撃にも繋げられなかった」と高岡一の松浦朗夫監督が振り返った通り、後半にギアを上げた大津が8強入りを決めた。

 山城朋大監督も「高岡一は10番の選手に早めに入れて、後ろは5バックで粘って守るイメージがあった。前半からテンポを上げてDFの間を取っていきたかったけど、どうしても後ろに重くなってテンポが上がらなかったですね」と反省の弁を述べ、前半の出来に課題を残した。

 しかし、苦しい時間帯にCKから先制点を奪ったのは流石の一言。流れの中でゴールを取れなくても、質の高いセットプレーは今年の強みでもある。準々決勝の相手は静岡学園に決まった。個人技で勝負できる選手が揃う今大会屈指のタレント集団に対して、どのような戦いを見せるのか。高岡一戦のように要所を締めた戦いを見せられれば、2014年度以来の準決勝進出も見えてくるはずだ。

(文・写真=松尾祐希)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
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