ゴールを量産した青森山田が初芝橋本を退け3回戦へ
左からMF藤森颯太、MF松木玖生(写真=前田カオリ)
8月16日(月)に行われた『令和3年度全国高校総合体育大会サッカー競技大会男子』2回戦。テクノポート福井総合公園芝生広場での第2試合は、青森県代表・青森山田と和歌山県代表・初芝橋本が対戦した。
試合後、「特定の選手だけがヒーローになるのではなく、いろんな選手が得点したり活躍したりできたことは、チームとしても個人としても良かったと感じている」と振り返ったのは、青森山田の藤森颯太。前半では、11分に三輪椋平、15分に丸山大和、35分+2分には松木玖生。試合を折り返して後半に入ってからは、40分に小原由敬、52分に名須川真光、63分に小野暉、68分に小湊絆、69分に再び小野。CB2人を含む7人の選手が合計8つのゴールを奪い、初芝橋本を退けた。
得点こそなかったものの、藤森自身も「自分が評価してもらっている部分」だと明確な認識を持っている「縦への突破」で再三チャンスメイクし、松木と小野の1点目をアシスト。名須川が挙げたゴールについても、藤森のシュートから繋がった得点だった。
黒田剛監督が「誰がどの角度からでも、というのがうちの持ち味。相手の出方によっていろいろ使い分けられるのが今年の強みでもある」と話した通り、1回戦に続いて2回戦でも5枚すべての交代カードを使い切り、途中出場の選手も追加点を重ね、ゴールを量産。中でも「前半にセットプレーでテンポ良く2点を取り、3点目をも得られていたのは大きかったし、後半を優位に進め、選手を交代させる目処も立てられた」と黒田監督は振り返っている。
その前半の3得点において1ゴール2アシストだった松木も、「引いた相手に対してどのように侵入するかチームとして取り組んできているものを表現でき、前半から自分たちが得意とするセットプレーから得点できたことで良い流れを作ることができた」としたものの、表情を緩ませることなく「まだ決めるべきところもあったし、カウンターを受けてシュートも何本か撃たれてしまった」ことを反省・改善すべき点として挙げている。次の試合でも引き続き「一戦一戦を丁寧に」(松木)戦い、トーナメントの高い位置へと着実に歩みを進めていく。
一方、初芝橋本の阪中義博監督は、「ウイングをかなり絞った位置につかせて守備を徹底し、セカンドボールを回収して前線へ持ち込む」、いつもよりかなりディフェンシブな戦い方を選択し、試合に臨んだ。セットプレーから失点してはいたが、前半アディショナルタイムに差し掛かるまで流れの中でゴールを奪われることを阻み続け、狙い通りに相手ゴール前にボールを運ぶ機会も幾度か作ることはできた。しかしながら、朝野夏輝が相手GKをかわすシーンや大月志浩や片山翔太郎のシュートなどもあったが、1点を奪うことは惜しくも叶わず試合を終えた。阪中監督は、「もう少し強い闘争心を持って戦う姿勢を見せてくれれば、という局面が多かった」と振り返り、得点を奪えなかったことに悔しさもにじませながらも「公式戦で日本のトップレベルのチームと戦えるのは、滅多にない機会。自分たちと比較して何が足りないのかを考え、選手たちのこれからの成長に生かせれば」と語っている。
中央に持ち込んで自らミドルシュートを放っていたボランチの片山は、「相手の気迫に気圧される部分がチーム内に少なからずあったし、相手との質の違いを感じた」と話し、「全国大会で1点を奪うには、シュートが枠を捉えるのはもちろん、ラストパスの質、パスコースの選択肢など、レベルをもっと上げていかなければいけない」ことを学んだと話している。また、キャプテンの岡本直大は、「試合の中で相手と圧倒的な違いを感じたのは、勝負に対する強い執着心。ここで感じたことを持ち帰り、福井に来ていなかったメンバーにも共有して、チームみんなで練習から本気でぶつかり、成長する」と冬に向けて決意を新たにし、悔しい結果となった「この試合に意味を持たせる」ことを誓った。
(文・写真=前田カオリ)
▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)