MF松木玖生のパネンカPKから始まり5発快勝!青森山田が東山を5-2で下し準決勝に進出

東山 vs 青森山田

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)は8月19日に準々決勝が行われ、三国運動公園陸上競技場で行われた東山(京都)と青森山田(青森)の一戦は5得点とこの日も攻撃陣が爆発した青森山田が東山を5-2で下し準決勝に進出した。勝利した青森山田は8月21日に静岡学園と日東シンコースタジアム丸岡サッカー場で対戦する。

 3試合19得点無失点と圧倒的な強さを見せてきた青森山田と東山の対戦。

 東山はインターハイ京都府予選で優勝した後、「2年生が中心の中で3年生に出場機会を与えて、彼らが結果を残したことでチームとしてまとまったし自信になった」(福重良一監督)という近畿大会を制し、和倉ユース大会でも青森山田と大津というプレミア勢と同グループに入りこれ以上ない強化を経てこのインターハイに臨んだ。

 初戦で強豪・前橋育英を1-0で破ると、続く3回戦ではキャプテンDF夘田大揮の2ゴールで三重を撃破。そして和倉ユース大会で1-3と敗れた相手、青森山田と準々決勝で再戦することになった。しかしそんな快進撃を続ける東山でも青森山田を止めることは出来なかった。「和倉の時とは違って更にスピードアップしている。彼ら(選手)にとってみれば驚くぐらいスピードが違っていた」と福重監督が振り返る程の違いを青森山田がみせた。

 試合は序盤、風上の東山が果敢に繋ぐプレーで互角に戦う。しかし先制したのは青森山田。13分、キャプテン10番MF松木玖生がボックス内で倒されPKを獲得。このPKを松木がパネンカでゴールのど真ん中に沈めた。大事なインターハイの準々決勝、そして互角の展開の中得た絶好のチャンス。その場面でパネンカというリスクある選択ができるMF松木の頼もしさがその後の青森山田イレブンに勇気を与えた。

 これで勢いに乗った青森山田は19分に16番MF田澤夢積、33分に17番FW渡邊星来が追加点。着々と追加点を決めて前半を3-0とリードし試合を折り返す。

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東山 vs 青森山田

 後半に入っても青森山田の勢いは止まらず、38分に6番MF宇野禅斗が、50分にもMF田澤がこの日2点目を決めて5-0。勝敗の行方を大方決めた青森山田の黒田監督はこれまで通り連戦を見据え攻撃陣を次々交代させていく。

 しかしここから東山の反撃が始まる。66分、途中出場の9番FW李隆志が「和倉ユースでもやったのでゴール前では通用することがわかっていて、自分の得意な形で点が取れた」と7番MF阪田澪哉から受けたボールを右足でゴール右にシュートを決め切った。

 今大会で初めて青森山田から得点を奪った東山は更に70+4分、7番MF阪田澪哉がカウンターから右足を振り抜きゴール。終盤に2ゴールをあげ意地をみせた東山だったがここでタイムアップ。青森山田が5-2で勝利し準決勝に進出した。

 「悪天候もあって向かい風の中3点取れたのが大きかった」(黒田剛監督)と青森山田はころころ変わる天気で風下という「前半は0-0でもよかった」条件の中でも前半に3点を奪い切る逞しさを見せた。2年生主体の東山に対しフィジカルや走力で違いを作り、特に2トップの9番FW名須川真光とFW渡邊がアバウトなボールでも納めてしまう力が大きかった。

 2トップが収めたところにMF松木とMF宇野がフォローに入り、ワイドに開いた右サイド11番MF藤森颯太と左サイドMF田澤をシンプルに使う。そこにサイドバックも絡めて縦に突破し、中に入れたボールに2トップ、中盤、逆サイドの選手が詰める。相手がCKやスローインに逃げればそこでセットプレーの強さを出せる。といったようなシンプルだが強力なこのパターンで対戦相手は気力と体力を削がれていく。

 しかしこの必勝パターンに綻びが見えたのが後半だった。いつも通り2トップを下げた61分以降、前線でボールを収める攻撃の最初の部分が厳しくなったことで東山に反撃を許すことになった。しかしこの2失点も「あれだけシュートを打たせなかったのに、メンバーが変わる事によって前の圧が変われば失点もしてしまう。明日(以降)に向けて渇を入れるのにいい薬をもらった」と黒田監督には大勝が続く展開の中でチームの気の緩みをマネージメントするのに都合が良かったようだ。

 雨降って地固まる。この大会初失点を青森山田が準決勝でどう活かすのか。静岡学園のテクニックがどこまで青森山田の圧力に対抗できるのか、という部分とともに次戦、青森山田vs静岡学園は見所が詰まった注目のカードになった。

(文・写真=会田健司)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)