効率よく得点を重ねた神村学園がベスト4進出を果たした2007年大会以来の8強入り!
インターハイ3回戦 阪南大高 vs 神村学園(写真=松尾祐希)
8月18日、全国高等学校総合体育大会 サッカー競技大会の3回戦が福井県内で行われ、大迫塁、福田師王を擁する神村学園(鹿児島)は阪南大高(大阪1)と対戦。2点を奪って迎えた後半開始早々に大迫が3点目を奪うと、1点を返された12分に福田が加点した。その後は相手の反撃に遭い、2点を奪われたもののリードを守り切って勝利を手にした。
攻撃的なスタイルを身上とする神村学園は序盤から主導権を握る。CBの2人とボランチの畠中健心(3年)が最終ラインからビルドアップすると、スピードに長けた篠原駿太(3年)と若水風飛(3年)がドリブルで局面を打開。トップ下に入った大迫のスルーパスや福田師王の動き出しの良さも光り、相手陣内でプレーする時間が多くなった。
11分に若水がPKを決めて先制すると、19分にも大迫のスルーパスから若水が加点。一気にリードを広げると、後半も開始40秒でいきなりチャンスを得る。大迫がアタッキングエリアから自ら仕掛け、篠原と福田が背後に飛び出す動きで相手DFを翻弄。最終ラインが後ろに後退すると、大迫は目の前に出来たスペースにボールを運んで左足を振り抜く。これが見事に決まり、リードをさらに広げた。
その直後にCKから1点を返された神村学園はさらに攻撃を仕掛けるべく、後半4分にCB前原慶維(3年)を投入して3−5−2にシステムを変更。福田と篠原の2トップでより攻撃的な布陣でゴールを目指した。しかし、この策が裏目に出てしまう。ショートカウンターでチャンスを作った一方で、守備時はミスマッチになる場面が散見。「久々に3−5−2で戦ったのですが、得点が奪える一方で守備のマークがうまくいかず、ハマりませんでした」と有村圭一郎監督が反省の弁を述べた通り、相手のフィジカルと技術を生かした攻撃に守備陣が耐えられなかった。
12分に大迫のスルーパスから福田が4点目を奪った一方で、以降は点差が開いて思い切りの良さが出てきた相手に苦戦。最終ラインが下がり、中盤でボールを持たれる場面が増えてしまう。阪南大高の鈴木章斗(3年/湘南入団内定)、石川己純(3年)の2トップにボールを収められ、ゴール前に入られるシーンも目に付くように。54分にMF松本楓悟(3年)の折り返しから左SB保田成琉(2年)にゴールを許すと、70+1分には鈴木の突破から石川にネットを揺らされた。
その後も相手に猛攻を仕掛けられたが、なんとかリードを守り切って4−3で勝利。神村学園が13大会ぶりに8強入りを果たし、鹿児島県勢としても2014年の鹿児島実以来となる準々決勝進出を決めた。
守備に反省点を残したものの、圧倒的な攻撃力で3回戦を突破した神村学園。有村圭一郎監督は手応えと課題を口にしたなかで、勝ち上がれたことを素直に喜んだ。19日の準々決勝では米子北と対戦するが、チームとして久々の4強入りがかかっているだけではなく、鹿児島県代表としての意地を見せる戦いになる。「最近、鹿児島県勢が全国大会で勝てていない。『鹿児島のサッカーが弱いと言われない様にやろう』というのが僕らの願いでもある」とは有村監督の言葉。全国制覇の経験を持つ鹿児島実や大迫勇也を擁して選手権で準優勝を収めた鹿児島城西など、古くから鹿児島は高校サッカーの強豪校が多いことで知られる。有村監督も鹿児島実出身で現役時代に選手権で優勝を経験しており、鹿児島県勢の復活を願っている一人。そうした想いを背負い、神村学園がベスト8の壁を越えられるか注目だ。
(文・写真=松尾祐希)
▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)