鉄壁のディフェンスで耐え抜いた槻の木がPK戦を制し5回戦進出!アサンプションは決定機生かせず無念の4回戦敗退

PK戦を制した歓喜の槻の木イレブン

 10月9日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の4回戦が行われ、槻の木vsアサンプションはスコアレスで突入したPK戦を5-4で制した槻の木に軍配が上がった。勝利した槻の木は5回戦で浪速と対戦する。

 公式記録のシュート数はアサンプション25本に対し、槻の木は5本。この数字が表すように試合内容は圧倒的にアサンプションがボールを握り相手を押し込んだ。しかし神田哲也監督が「一番のところは最後の精度と工夫。最後のゴール前で冷静にプレーするところの精度が低かった」と振り返ったように決定機での落ち着きを欠きゴールをこじ開けることが出来なかった。逆に守備に追われた槻の木だが、「アサンプションの攻撃的なサッカーをどうやって防ぐかっていうところから入った」と鈴木勝己監督が言うように押し込まれるのは試合前から織り込み済み。時間が経てば経つほど、槻の木イレブンの"やれてるぞ!"感は増していった。

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 14分、アサンプションは6番MF川西一成が中央を縦に運びながらアウトサイドで絶妙なスルーパスを送ると、これがボックス内右に走り込んだ20番MF郷原健人に通りシュート。しかし猛然とスライディングでシュートブロックに入った3番DF角田拓海がシュートコースを限定したこともあり、1番GK岡田健太郎がこのピンチでファインセーブ。

 決定機を逃したアサンプションだったがその後も一方的にボールを支配。ボランチに入ったMF川西にボールが入るとリズムが良くなり、そこからの展開で次々とチャンスを作っていく。しかし、左サイドからのクロスにドンピシャで合わせた9番FW水谷圭吾のボレーシュートもゴール寸前でDF角田にクリアされてしまう。アサンプションが押し込みながらもスコアレスで前半を終える。

PK戦を見守るアサンプションイレブン

 早いうちに先制点が欲しいアサンプションは後半に入って更にギアを上げる。44分にはMF郷原が抜け出したかに見えたが、GKの飛び出しが一歩早くゴールならず。更に61分には10番MF黒木颯来のループシュートがGKの頭上を通過するも、コースが少し甘かった為、またもカバーに入ったDF角田にヘディングでクリアされてしまう。試合終盤になっても猛攻を仕掛けるアサンプションだったが、結局前後半で槻の木ゴールをこじ開けることが出来ず後半終了のホイッスル。0-0のまま勝負はPK戦へと持ち込まれた。

 PK戦では「確率的にPKになる確率は高い。インターハイで履正社にPKで負けたので、PKの練習は夏からやってきた」と鈴木監督が言うように槻の木イレブンの表情には自信がみなぎっていた。更にPK戦に持ち込まれたアサンプションに対し、持ち込んだ側の槻の木がメンタルの面でも優位に立った。そして5人全員が成功した先行の槻の木に対し、アサンプションは5人目がGK岡田にシュートストップされ万事休す。PK戦を5-4で制した槻の木が5回戦に駒を進めることとなった。

 試合後、残念ながら4回戦敗退となってしまったアサンプションの神田監督は決定機を逃し続けた展開を悔やみながらも「ボールを丁寧に動かす、相手に対して優位性を持つ、ゴールまでのイメージを持つところは前半から悪くなかったと思っていました」と内容は悲観するものではなかったと話した。続けて「急にスーパープレーは出ないので、今まで自分たちがやってきた事をピッチ上で何回成功させることが出来るかが大事。個人のプレーもそうですし、チームとしてゴールに向かうプレーもそうですし、今までやってきた事が出来ていたし、いいプレーが多かったかなとは思うんですけど、普段からもっと細かいところ、ボールの置き所、ボールの触り方、体の向きや動かし方っていうところを彼らはまだまだこの先やっていく必要があると感じます。ほとんどの子が大学でもプレーするので、この先しっかり頑張って名前が聞けたらいいかなと思います。この悔しさを糧に大学にいっても1年から向上心を持ってやって欲しいです」とこれで引退となる3年生に対して今後の活躍に期待するコメントを残した。

 一方、勝利した槻の木の鈴木監督は「失点しないようにして何とか少ないチャンスで決めようと試合に入りましたが、点は取りたかったですけど(この展開では)取れないですね(笑)。PKの練習はしていたのでその成果が出ましたね。本当にアサンプションさんの方が体も大きいし上手だし、最初から攻め込まれていたのでよく頑張ったなと思います」と押し込まれながらも我慢強く戦った選手たちを称賛した。

 この試合は同じ3部リーグ同士の対戦となったが、公立校の槻の木がリーグ戦で2部昇格を決めたアサンプションに勝利するのはある意味ジャイキリに近い。しかし槻の木イレブンにはインターハイでプリンス首位の履正社をゼロに抑えたという経験があった。ハーフタイムに鈴木監督が「これだけ攻め込まれてるけど、履正社の時よりは今日の方がまだ攻めてるぞ!」と選手に声を掛けたように身体を張ってゴールに鍵を掛け続けた選手たちに悲壮感はなかった。「僕はもう高校サッカーでは年寄りの方ですけど、若い先生が頑張って子供たちの後押しをしてくれています」とコーチの存在も大きかったと振り返った鈴木監督は次戦に向けて「今日勝ったからって満足せず、アサンプションさんの分までしっかりやらないとダメだと思います」と意気込みを語った。公立の槻の木が5回戦を突破できるか、賢明学院を破った浪速との次戦にも注目だ。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選