國學院大學久我山高校サッカー部の集合写真(写真=國學院大學久我山高校サッカー部提供)

 國學院大學の系列校ながら、例年、卒業生の9割が他大学への進学を選択している國學院大學久我山高校。毎年、国公立大学や早慶(早稲田大学・慶應義塾大学)、MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学の総称)といった難関大学に多数の合格者を輩出している。

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 生徒募集は男女とも行っているが、「男女共学」ではなく、「男女別学」制を採用しているのも大きな特徴。授業は男女別の校舎で学び、部活動や学校行事などは男女一緒に行っている。

 また、部活動ではサッカー部以外にも、野球部やラグビー部など全国レベルの強豪クラブが揃う、まさに文武両道を地で行く学校だ。そんな同校のサッカー部顧問・倉浪章仁先生に話を訊いた。第1回ではサッカー部の進学実績について明かしてくれたが、今回はサッカーと学業の両立の要因について語ってくれた。

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國學院久我山イレブン(写真=矢島公彦)

――相当な進学実績ですが、秘訣を教えて下さい。

 私や学校がお願いしているわけではないのですが、李監督が常日頃から生徒たちに、「早慶などの難関大学に合格することだけが目的ではなく、その先にある学問を意識しなさい」と指導してくれていることが大きいと思います。サッカーの戦術的なことよりも、「本を読みなさい」「学問をしなさい」といった勉強に向けた話のほうが多いぐらいだと思います。

 実際、部員のなかには「サッカーは高校まで」と決めて、早めに「大学に行ったら、この分野の研究に打ち込んで、将来、社会に貢献したい」と道を定める生徒も少なくありません。例えば、紳士服大手のAOKIホールディングスや、スポーツ用品メーカーのSVOLMEの社長は本校サッカー部のOBです。象徴的な存在といえるでしょう。

――では具体的に、サッカー部としてどのように勉強との両立を図っているのでしょうか。

 まず学校として、ほぼ毎日、なんらかの教科で小テストが課されますので、日常的に勉強量を確保することは欠かせません。これはスポーツクラスも同様です。

 ですので、まず、月曜日は活動をオフにして、部として勉強に取り組めるよう時間を確保しています。また、活動時間は15時から19時ですが、練習自体は3部制で、部員ひとり当たりの練習時間は1時間30分と決まっており、3部のうちどこかに加わります。3部の練習は17時30分スタートなので、それまでは勉強することを奨励しています。ただし、部として管理はしていないので、正直、寝ている部員もいるのかもしれません(笑)。でもその時間は彼らが自由に使ってくれればいいと考えています。

――居残り練習などは?

 そこは本校サッカー部の文化として、練習が終わったあとは即、帰宅してもなんの問題もないということがあります。「居残り練習もしないくせにレギュラーになりやがって……」と思われるようなことはありません。先に述べた早大進学の背番号10の山脇などは、練習終了後はすぐに帰宅して勉強していました。もっとも、彼は合宿では誰よりも遅くまでボールを蹴っていましたが。

 他方、話は変わりますが、学業成績が悪い選手を試合に使わないということもありません。そこは単純にサッカーの実力で評価されます。ただし、本校では赤点をとると追試になり、追試になった教科・科目数に応じて部活停止の措置が講じられますので、それはサッカー部も例外ではありません。

――部活と勉強の両立で得られるものは、なんだと感じていますか?

 サッカーも勉強も楽しくなるということでしょうか。例えば、中学入学の一貫生の部員が高校1年生時点では、勉学含めた生活習慣がまだまだ未熟ということがあります。しかし彼らが、サッカーで中学時代は雲の上の存在だった川崎フロンターレやFC東京といったJクラブのユースチームとそれなりに渡りあえるようになったことで自信を持つことで、格段に勉強面・生活面でも伸びるということが少なくありません。「サッカーでの成長に恥じない自分でありたい」という自覚が生じるのでしょう。

――サッカーの強さと、学業との両立に相関関係などはありますか?

 答えになっているかは分かりませんが、サッカーが弱い代は、クラスでも生徒たちがサッカー部だけで集まっている感があります。逆に強い代は積極的に、野球部やラグビー部など他のクラブの生徒などとも交流して、他競技の競技力向上について話を聞き、サッカーの能力アップのヒントをもらいにいったりします。それは学業についても同じで、「こんなふうに英語を勉強しているんだ」などと、サッカー部以外の生徒に教わっている部員もいますね。

 あとは私に「自分たちの代は、どんなところが問題ですか」などと聞いてくる代も強い気がします。サッカーの素人である私にもアドバイスを求める選手たちは、自分たちの成長に関して貪欲です。

――では最後に、サッカー部の今後の目標をお聞かせください。

 これは李監督の言葉なのですが、「サッカーで日本一、勉強で東大」。これをひとりで成し遂げる選手を輩出することです。トップチームが全国制覇、トップチームのレギュラーではない選手が東大ではなくて、ひとりの選手がそれを達成することを目指しています。

(文=二本木昭) (写真=二本木昭、國學院大學久我山高校サッカー部提供)