渋谷幕張を率いる宗像マルコス望監督(写真=多田哲平)

 海浜幕張駅から徒歩10分のところにある日本屈指の進学校・渋谷幕張高等学校。通称、渋幕(シブマク)。自らの手で調べ、自らの頭で考えるという「自調自考」を教育理念として掲げ、国内外の名門大学に多数の合格者を輩出する。2023年の東大合格者数は全国6位の74人。2012年に初めて10位の大台に乗ってから12年連続トップ10である。

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 そんな進学校はスポーツも盛ん。サッカー部は強豪ひしめく千葉にあって県リーグ2部に所属。過去には、夏のインターハイで1992年と2002年の2度、冬の選手権では田中マルクス闘莉王を擁した2000年に全国大会出場の実績を残した。

 しかし創部当初はやんちゃな生徒ばかりで、学業もサッカーも成績が出なかったという。いかに彼らのやる気を引き出し、文武両立の道に導いたのか。同部を率いて38年の宗像マルコス望監督に尋ねた。

――マルコス先生は創設3年目の1985年にこの渋谷幕張に赴任しましたが、当時のサッカー部の雰囲気はどうでしたか?

 最初はとんでもなかったですよ、やんちゃな子ばかりで。部員は70~80人くらいいましたけど、練習に来るのはそのうち10~20人くらい。しかも練習に出ない子に限って試合になると顔を出して「俺を出せ」と言ってきてね。ただ私は練習に来ない子はいくら上手くても試合には出しませんでした。毎日真面目に練習に来る子でやらなければ勝った時に嬉しくないですからね。

――そんな状況をどう変えたのですか?

 まずは環境を整えました。他の部活ではスポーツ推薦で実力のある選手を取ってきていたけど、サッカーは団体スポーツだから1人、2人推薦の選手を取ったところで意味がないと私は考えていました。ですから、まず土台を作ろうと。

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