マルコス監督は人間性をなにより重視する(写真=多田哲平)
――マルコス先生が来た時、学力の面はどうでしたか?
私が来た頃はまだ学校ができたばかりで、学業に力を入れるのかスポーツに力を入れるのか、まだ指針がハッキリしていなかったです。サッカー部はやんちゃな子が集まっていて、勉強は全然ダメ。テストの1週間前に図書館に閉じ込めて勉強させたけど、それでもできない。定期テスト後の判定会議で私はいつも「すみません。頑張らせてはいるんですけど……」と謝っていましたよ。
――それが、どう変わっていったのですか?
勉強ができない分、人間性だけは厳しくしつけましたね。そうしないと応援してもらえる人になれないだろうと。人間性が変わると行動が変わるんです。何か決定的なきっかけがあったわけではないですけど、サッカー部としてみんなで勝とうという雰囲気が生まれて、勉強も少しずつやるようになりました。
あとは附属中ができたのも大きかったですね。勉強とスポーツの両方で上を目指そうという雰囲気ができました。
――マルコス先生が指導において大切にしているのも、その人間性を育むことですか?
それは、なにより大事ですよ。勉強がいくらできたって、人間として最悪だったら、ろくな大人にならない。人として当たり前のことを当たり前にやって、謙虚さと思いやりを大事にしなさいと、それは昔も今もよく言っていますね。
それに勉強だけしていると教科書に載っていることしかできないでしょ。実際に足と手を動かして成功と失敗を繰り返さないと、生活において適応力がない人間になってしまいますよね。そういうところもよく伝えています。
#2に続く
(文・写真=多田哲平)