生徒を見守る宗像マルコス望監督(写真=多田哲平)
――素晴らしいですね。学業とサッカーを両立する生徒の取り組みをどう見ていますか?
凄いことですよね。でも文武両道は誰にでも必ずできますよ。高校生は若くてエネルギーに溢れているんだから。勉強やサッカーのせいにしたりして、部活を辞めてしまう子もいるけど、それは言い訳を作って自ら可能性を潰してしまっているだけなんです。
もちろんウチにも途中で部活を辞めてしまう子はいます。一方で2年生までのんびり過ごしていても、3年生になってからスパートをかけて東大に受かってしまう子もいます。そういう要領の良さに差はあるかもしれないですが、自分なりに追求することはできますよね。はっきり言います。文武両道はやればできる。
――高いレベルで追求できる子は何が違うのでしょうか。
ウチの子を見ていると、「なんでこの子たちはこんなに勉強ができるんだ」と思いますよ。毎日練習と勉強をして、週末には試合をこなす。誰にでもできるとはいえ、両立するのはすごく体力を使うこと。だけどそれが将来絶対に役に立つことだと理解しているし、挑戦したい気持ちが強いんでしょうね。
あとは親のサポートも大事です。「サッカーなんてしてないで勉強しろ」「いつ勉強するんだ」と親が、勉強しないのをサッカーのせいにしてしまうと両立は続きません。子どもはサッカーが好きでやっているわけだから、勉強と両立させるように促すべきですよね。
私も以前は、保護者の方に「練習はほどほどにして勉強させてください」と言われることもありました。でも、強制的ではなく自主的に動く環境を作るのが大事。伝統的にサッカーも勉強も頑張る雰囲気ができた今では、練習を休みにすると「先生、具合でも悪いんですか?」「勉強はやりますから、練習してください」と言われますよ(笑)。
――その伝統を作り上げたのは、先生の大きな功績ですね。
私というより、生徒の頑張りですよ。正直生徒のやる気がなかったらこんなに続けられていないと思います。なんで私が何年も頑張っているかと言ったら、やっぱり頑張っている生徒たちを放っておけないからなんですよね。
(文・写真=多田哲平)