サッカー部として掲げるのが「Do Action 自ら行動し、試合を支配し、困難に打ち克ち、人々を魅了する」というキャッチフレーズ(写真=多田哲平)
――1週間の主なスケジュールを教えてください。
月曜日がオフで、火曜日はフィジカル、水、木、金とトレーニング、そして土日が試合。これが基本的なスケジュールです。ただ校庭が人工芝になってからは火、水の夜に他のチームを呼んで練習試合を組むこともあります。人工芝のグラウンドにしてから練習試合相手のレベルが格段に上がりました。それは本当にありがたいですね。
――学校の教育理念とは別に、サッカー部として「Do Action 自ら行動し、試合を支配し、困難に打ち克ち、人々を魅了する」というキャッチフレーズを掲げていますね。
5年前に私が赴任してきた時にスタッフと一緒に考えて決めました。何事も自分から行動してほしいという想いが一番。そして賢い子が集まるうちだからこそ見ている人を魅了するサッカーをしたいなと。うちの選手の理解力は高いと自負しています。外部から指導しに来てくれる方々には「みんな賢い。すぐに変化するね」と言ってくれるように、いろんな状況に対応する能力はある。だからこそ高いレベルを要求したいです。
――賢い子は要領がいいから、勉強もサッカーも上手く吸収できますよね。
そうなんです。だからいろんなことを求めたくなります。ただその吸収する対象が中途半端だと勝てないから、私自身の指導力をもっと上げないといけないなと。まだまだ勝たせられていないのでそこは反省しています。
――大野先生から見て、生徒の勉強とサッカーへの取り組みはどうですか。
意識は高いです。私が来た当初は、勉強ばかりでサッカーにも針を振れよという想いもありました。今でも勉強に追われてサッカーに対して物足りなさを感じる時はありますが、彼らなりに一生懸命にやっていると思います。
オフを与えて「せっかくだからどこか遊びに行ったらどうだ」と言っても、「いや、みんなで勉強時間を競うんです」って言うんですよ。驚きますよね。
――それはすごい意識の高さですね。
ただ、上手くバランスはとってほしい。オフの日だから自由に過ごしてもらって構いませんが、切り替えは大事。休みを取らない姿を見ると感心する一方で、どこか切羽詰まっている感じがしていて。
私の赴任当初は、部活中に得点ボード係をやりながら勉強をしている子がいたんです。その子は怪我をして試合には参加できなかったとはいえ、さすがにそれは違うよなと。公式戦の試合開始直前まで勉強をしていたこともありました。勉強に対する熱意は買いますが、それは本当に文武両道と言うのかと。サッカーに身が入っていなかったら、それは両立しているとは言えない。隙間時間を活用するのは大事ですけど、いつでもやればいいわけではない。電車の通学時間や休み時間を上手く使うべきで、試合前の時間にやるのはメリハリがないだけだと。そこは諭したことがあります。
#2に続く
(文・写真=多田哲平)