意欲的な生徒は目的意識がハッキリしている(写真=多田哲平)
――勉強についても、サッカーについても、意欲的な生徒とそうでない生徒というのは何が違うのでしょうか。
一番は目的意識でしょうね。何のためにやるのかがハッキリしているか。自発的にやっているか、なんとなく周りに流されてやっているかは決定的な違いですね。意欲的な生徒は、やはり「こうなりたい」という理想像が明確です。初めは他人に何かを言われたり感化されたり、多少なりとも影響を受けた部分はあるはずですが、潜在的に持っているものがあったり、自分なりの考えに昇華できたり、それが目的意識につながっているのかなと。
特に自発的というのは重要なポイントだと思います。それをどう気づかせるかというのが、指導者の本当の仕事なのかもしれないですね。生徒の質で言えば、武蔵は優れているほうだと思います。厳しい中学受験を潜り抜けていて、学力の面では賢いので、多くを言わなくても理解してくれる、そういう素養を持った生徒たちです。
全員が全員、同じアプローチはできませんが、武蔵の生徒は賢いからこそ、正解を伝えるのではなく、考えさせる指導をしなければと常に考えていますね。サッカーでも自分で考えて行動できる選手がいるチームは強いんですよね。私は勝ちたくて、つい伝えすぎてしまうことがあるので、そこのバランスはまだまだ勉強中です。我慢は大事だなと。
第4回へ続く
(文・写真=多田哲平)