畝傍高校(写真=畝傍高校サッカー部提供)
ーー監督に就任した頃の畝傍はどんなチームでしたか?
僕は今年で6年目なんですけど、赴任する前に当時の監督さんにお願いしてA級ライセンス取得の一環として畝傍高校でトレーニングの指導をさせてもらったんです。当時はリーグも3部で選手権も1回戦2回戦で負けるチームだったんですが、実際に指導をしてみたら選手たちが凄く良くて「これならすぐにベスト4くらいには行けるようになりますよ」と話をしたんです。選手たちが凄く真面目で理解が速いので、トレセンを見ているような感覚に近かったのを覚えています。
ーー進学校だと時間の使い方も難しいと思いますが、気を付けていることはありますか?
生徒の考えを尊重するという事ですかね。自分の考えが全てではないし、一緒に見つけていくというか、一緒に新しいものを創っていく感覚です。「おれはこう思っているけど、みんなはどう思ってる?」と意見を聞くようにしていて、そこは大事にしていますね。でも進学校でもグラウンドに立ったらサッカー選手なので、戦わないといけないというのは意識しています。
ーー今年は新人戦で優勝して、インターハイでも全国出場を期待されていたと思うんですが、インターハイ予選を振り返るとどうでしたか?
新人戦は予選の1回戦、2回戦を勝つにつれて雰囲気も出来上がって来て「優勝するチームってこういうチームなのかな」と思うほど練習の雰囲気も良かったので、選手のリズムを大事にしてやっていたら優勝できて、近畿大会でもある程度できて自信になって、そこからもう一個上を目指す上で「インターハイは全国に出るだけじゃなくて1つ勝つぞ!」とやっていました。今までは奈良県のベスト4にピークを持っていくチームだったので、今回は全国を勝つ為に予選に入って行って、余力を残した状態で準々決勝に挑んだ中で先制されて、取り戻すのに時間がかかってしまった。選手もプレッシャーから硬くなっていた気がしますし、それを僕が上手くマネージメント出来なかったので負けてしまったと思います。
ーー手応えも大きいチームで選手権までやりたいという気持ちはありましたか?
今年の3年生ではMF岡田奈朗が一人で残ってくれていますが、僕が来るまでの20数年間は選手権まで残る選手がいなかった中で、僕が来て3年目の時に初めて3年生が一人選手権まで残ってくれたんです。そこからは毎年一人は残ってくれるようになって、去年は4人残りました。もちろん選手権まで一緒にやりたい気持ちはありますけど、勉強も国公立を目指してやっている選手が多いので、そこは尊重しています。
ーーそうなると他のチームとはインターハイの意味合いが違ってきますか?
そうですね。畝傍の中ではインターハイのウェイトが高いですけど、選手権は選手権で独特の雰囲気があるので、2年生を中心にモチベーション高くやってくれています。今年もインターハイで全国に出れていれば、選手権まで残ってくれる選手も出ていたかもしれませんが、新人戦を獲れたことでまた一つ歴史を創れたと思います。