参考書を手にする名古屋の選手たち(写真=森田将義)

 「勉強をしっかりやりつつ、サッカーもレベルが高い学校を考えて、名古屋高校を選びました」(MF田口想太、2年)、「勉強とサッカーを両立できる環境が魅力だった」(MF川瀬陸、2年)。選手が声を揃えるように文武両道を目指す生徒が多い点が学校としての特徴だ。陸上部はリレーで、水泳は個人種目で日本一を獲得するなど古くから県内の強豪として知られている。テニスは全国大会の常連で、ラグビーもコンスタントに県大会の決勝まで進んでいるが、サッカー部も含めた全種目が強化指定クラブではなく、特待がなければ優遇措置もない。授業も木曜日以外は7時間授業で、16時までは机に向かっており、どのクラブも練習時間は限られている。

 それでも、高い進学率を誇るわけには理由がある。一つは毎朝のショートホームルームで行なう確認テストだ。曜日ごとに10分から20分程度の英語、数学、国語などの確認テストを実施。前週に学んだ授業内容と課題から出題され、不合格者は夕方の授業後に合格点に達するまで追試を受ける。取り組みの意図について山田武久監督はこう話す。「学習習慣を身に付けるのが狙い。主体的な学習ではないけど、学習習慣がない子たちには大きい。できる喜びというか成功体験を味合わないと勉強は難しい」。

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