――選手は自発的に指導陣にアプローチしてきますか?

 以前に比べると少ないですが、サッカーに限らず自分の考えを主張できる生徒が多いので、指導はやりやすいですね。

――練習に取り組む意欲、姿勢はどんなものでしょうか?

 全員がどんなメニューも一生懸命こなしています。ただランニングの時には厳しい顔付きになる選手が何人かいますね(笑)。楽しみながら何でもやる生徒は伸びます。以前、他チームの監督の目に留まり「あの選手はどこの出身ですか」と聞かれたこともありました。指導者というのは、そういう選手を育てる楽しみがありますね。

――近い将来の目標、夢をお聞かせください。

 就任20年目に入りましたが、赴任当初はどうやったら埼玉のサッカーを勝ち抜いていけるのか?という思いを巡らせていました。経験しないと分からないことがたくさんありましたので、数多くの強豪校の胸を借りながら、チームとして情報を蓄えてやってきたのが前半の20年でした。近未来を考えた時、これとは違う手法、今までとは別のアプローチでチームと向き合っていくつもりでいます。

 指導者がすべてにおいて引っ張っていくやり方は、やはり若い監督さんに多く見られるのかもしれません。私自身も経験値のなかった頃は選手とともに考えながらリードしていましたが、これからはもっと選手に任せる割合を多くして、より良いやり方ができるような準備を少しずつやっていけたらいいなと考えています。まず全国高校選手権予選のベスト8を目指し、先輩たちの成績を超えられるチームづくりをしていきたいと思います。

       

(文・写真=河野正)