―――今の選手たち、生徒を見て、感じることはありますか?
自発的に意見を言うことが足りないなと感じます。たとえば「なぜ試合に出られないんだ」など、もっと監督である自分に意見を言ってもいいと思うんです。また選手同士「お前、決めろよ」とか「なに失点してるんだ」ともっと言い合って、ケンカしてもいいと思うんです。話すこと、自分の意見を伝える能力がないと、いざ社会に出た時、将来、AIにとって代わられてしまいます。そのあたりも培っていきたいです。
―――確かに今の生徒さんたちには激しい感情はあるものの、ぶつけ合う機会そのものがないかもしれませんね。
今年の夏、母校である日本体育大学出身の監督が率いるチームが集まる、サッカーフェスティバルに参加しました。
この大会で茨城の東洋大牛久さんに大量失点して、0-5で負けるなど、結局1勝しかできませんでした。このとき、チームのなかで言いあいのケンカをしていました。大会前、県内の強いチームと試合をして、1‐0、3-2で勝って、調子が良かったです。でも私は選手権の前、天狗の鼻を折るじゃないですが「滅多打ちにされないかな」と思っていたので「ちょうどよかった」と見ていましたが、結果、高校選手権の2次予選にいい傾向で進めました。
――― 改めてですが、選手の自主性を重んじていることが伝わりますし、それがサッカーに生かされ、結果にもつながっていると感じます。
勝った喜び、負けた悔しさをかみしめながら、とにかくサッカーを楽しくやってほしいです。チームには膝の大けがで試合に出られない選手、体調を崩して、サッカーができない選手がいます。その仲間のために戦う、仲間を思う気持ちは他の学校より絶対に培われています。強い仲間意識はサッカーでも社会でも活きます。高校時代の仲間は一生の仲間ですから。
(文・写真=佐藤亮太)