――難関大学への現役合格を志す選手でも、部活動を3年間続けているのですか?

 うちは“退部”ではなく“早期引退”という制度を設けているので、インターハイ予選後、リーグ戦の前期終了後、全国高校選手権予選後に引退する選手もいれば、12月のリーグ最終戦まで続けるなど選手によってまちまちなんです。入学時に選手権予選まで頑張ろうという話もしているので、最後までやり通す生徒が多いですね。デュアルクラスの選手もラストゲームまで続けながら、現役で国公立大や難関私立大に受かっています。1年生から受験勉強に取り組む子も多いのですが、どの時期から受験に備えるのかをデザインしなさいと私からもアドバイスはしています。

――山口先生も進学校の浦和西でサッカーに没頭しながら国立の埼玉大学に現役合格です。世代の差はありますが、先生が高校生の時と今の高校生で決定的に違うところは?

 他人を干渉しない一方で、自分も干渉されたくないという子が多いように感じます。まじめで物事に一生懸命取り組むのですが、リーダー性に欠けて周りを引っ張っていける子も少ないのかな。「こうしてよ」「ああしてよ」といった要求もあまりなく、ミーティングでも発言する生徒は限られていますね。

 高校生はサッカーによって人間的に成長し、人として成長すればサッカーにも生かされるという相互関係があると思います。サッカーというのは人間性がすごく出るスポーツなので、自己中心的な考えではうまくいかない。私が一番大切にしているのは、サッカー選手である前に高校生だということ。勉強に学校生活、私生活と高校生としてやるべきことをしっかり実行してほしい。仲間や親、学校や地域から愛され、小中学生のあこがれの存在になること。新入生にはこれが最も重要だと伝えているんです。