第94回関東大学サッカーリーク゛前期第2節 対法政大学戦(写真提供=桐蔭横浜大学)

ーーリーグ戦やカップ戦を含めて、ターニングポイントとなった試合を挙げるとしたらどの試合でしょうか?

 前期のリーグ戦の法政大戦ですね。前期はフォーメーション的に4-4-2で戦っていたんですけど、法政大戦で負けまして。スコアだけを見ると1-2だったんですけど、まったくボールを支配することができず内容的には一方的でした。本当に何もできなくて。その試合後に選手たちが「フォーメーションを変えたい」と言ってきて。私としてはフォーメーションを変えることって一朝一夕にできることではないと理解できていて、浸透するまでにはすごく時間もかかることだとわかっていたので、1試合負けたくらいでドタバタすることはないと考えていたんですけど、選手たちは「フォーメーションを変えたい。チャレンジしたい」と。

 法政戦の次のリーグ戦が立正大戦だったんですけど、この試合は4-4-2で戦いました。内容的には悪くなかったんですけど1-2で負けて。それで選手たちにも「日本一を獲るためには、勝たなければいけない試合を落とすようではダメだ」という思いが強くなったのかなと思います。あくまでも主役は選手たちですし、彼らが気持ちよく試合できないといけないと思い、ミーティングを重ねた結果、選手たちの意見を尊重して、4-3-3のフォーメーションを試してみることにしたんです。

 案の定、フォーメーションを変えて挑んだ早稲田大学とのリーグ戦は0-5で負けました。でもそれは私としては当たり前のことでしたし、選手たちも納得していたので本格的に4-3-3のフォーメーションを取り入れることにしました。すると選手たちの間で「もっとこうしてみよう」とか「あそこはしっかり修正しよう」という話し合いが増えたんですね。選手たち自身がフォーメーションを変えたいと言った責任を持って、自分たちで精度を高める努力をしていたんです。そこは本当に嬉しかったですね。結果的に4-3-3のフォーメーションもバリエーションのひとつとして武器になりました。あの法政戦で負けたことによって、新たなチャレンジをして、選手たちの自立心も芽生えて。とくに4年生に感じたのは「自分たちが引っ張らないと行けない」「自分たちのチームだ」という責任感を以前にも増して持つようになったことです。それはチームの成長においてとても大きなことでしたし、人間的にも一皮剥けた感じがしました。

(取材=高校サッカードットコム編集部)