甲南大学 柳川雅樹監督(写真提供=甲南大学サッカー部)

 2019年に監督に就任し、1年で甲南大学を関西1部リーグに昇格させた柳川雅樹監督。柳川監督は現役時代、ヴィッセル神戸でキャリアをスタートさせ複数のクラブを渡り歩くと、2015年からはフィリピンでもプレー。甲南大学で監督としてのキャリアをスタートさせた柳川監督にお話を伺った。

ーー監督就任から1年で1部リーグに昇格を果たしましたが、そこまでは順調にいったのでしょうか?

 前期リーグの終盤4試合が勝てなかったんです。そこまでは比較的勝ち点を積み上げていって上位を維持できていたんですけど、前期が11試合ある中で最後の4試合が引き分け、負け、負け、引き分けだったと思うんですが、そこで順位がガクッと落ちてしまって中断期間に入りました。前年の結果もあったので「やっぱりダメなんじゃないか?やっぱり勝てないんじゃないか?」という雰囲気がチーム全体に漂っていたので、6月〜8月は非常に苦しく悩んでいましたね。それでも夏の中断期間にシステム変更を加えたり、昇格の為に一致団結するようなミーティングも行えたので、後期開幕前には絶対昇格出来ると思っていましたし、開幕後は波に乗っていけたのかなと思います。

【第1回】甲南大学 柳川雅樹監督#1「サッカーは楽しいものだし、楽しんでやらないと何事も成果は出ない」

ーー1部に昇格してみて2部とはサッカーが違ったり、どういったあたりに差を感じましたか?

 選手の質は当然1部の方が高いですし、上位校主力の有名選手はスペシャルな能力を備えているので個の能力で言えば2部よりも2倍から3倍ぐらいは上だと思います。ただチームの総合的なところで言えば差はそんなに大きくないかなと思っていました。だから僕は選手たちにも「大丈夫!全然普通にやれるから!」という接し方を常々しています。

 それはJリーグと比べても一緒で、大学生の関東1部や関西1部の選手はJ2やJ3でやっても全然やれると思いますし、もちろんそこには差はありますけど、学生が考えている程の差はありません。沢山の大卒選手が1年目からJリーグで活躍していますし、大学時代からプロを意識して練習に励み「やれるぞ!」というマインドセットが出来た状態でJリーグに行った選手は普通にやれるので、1部では通用しないという選手達の思い込みを取り除いていく事が大事かなと思っていました。なので、昇格するまえから「1部とはそんなに差はないし、普通にやれるよ!」と言い続けていました。

ーー柳川監督からみて、関東と関西の大学サッカーに違いはありますか?

 攻守において前から行こうとする姿勢ですかね。選手の能力にそこまで違いはないと思いますが、関東と比べると関西の方が安定を求める戦い方をするチームが多くゲームテンポが遅くなり、観ている人を惹きつけるようなサッカーが出来ていないのかなと。また関東はチームカラーがはっきりした大学が数多くありますが、関西は似たようなスタイルのチームが多く、試合分析力や戦術的な対応能力が関東の方が養われていくのではないかと思っています。

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