(写真提供=駒澤大学サッカー部)

 現在、関東大学サッカーリーグ1部に所属する駒澤大学体育会サッカー部。前線に早くボールを送る、FWの強さで勝負する、というスタイルを軸に、インカレ3連覇をはじめ、総理大臣杯3連覇、関東大学サッカーリーグ1部優勝など輝かしい成績を残してきた。だが最近ではパワー勝負だけでなく、細かなパスをつなぐ戦術も多用してきている。この戦術の変化などについて、秋田浩一監督に話をうかがった。

ーーロングボールを前線に送って高さで勝負していたイメージから、細かなパスも繰り出す戦術も多用してきている感じもいたしますが、戦術のバリエーションを増やしたきっかけなどを教えていただけますでしょうか?

 みなさんにそうおっしゃっていただくのですが、そういった細かなパスを使う戦術的はウチのチームでも昔からありました。ただ、そういった戦術が向いているチームと向いていないチームというものもあります。

 例えばイタリアのセリエAでもイングランドのプレミアリーグでも、海外ではとくに顕著なのですが、リーグで下位のチームほど、勝つために「守って守ってワンチャンスをモノにして勝つ」という戦術を使うことが多いんです。ですからロングボールを前線に送って、FWの強さで勝負するというのは、点を取るためには有効なんですね。そういったプレーで泥臭く勝利を重ねていった監督だけが上位の強いチームを率いることができて、そこで初めてパスをつなぐような戦術を用いることができるというイメージなんです。私が以前指導を学んだアヤックスでは、8歳くらいの子どもにもパスするコース止め方そして貰い方、トライアングルを作り2つ以上パスができるようにポジションをとる指導をしています。

 話は少し逸れましたが、小さな子どもがボールを30メートル前に運ぶためにはどうしたらいいと思いますか? まず子どもでは30メートルの距離のパスを正確には蹴れないので5メートルくらいのパスを6〜7人でつながなければならない。でも大学生なら30メートルを正確に蹴れる選手が数多くいます。ですから30メートルを正確に蹴るというのも技術のひとつです。早く前にボールを送るという戦術が使えるんです。

 ただ最近ウチでも、とくに2019年に駒澤大学サッカー部のOBで鹿島アントラーズなどJリーグでも活躍していた深井(正樹)がコーチに就任してからは「プレッシャーが少ない選手に早くボールを渡す」ということを以前より意識するようになりました。深井コーチが選手たちに「早くボールを回す」ということをしっかりと教えてくれていますので、「ロングボールを前線に放り込む」という戦術だけでなく「ショートパスをつなぐ」戦術でも点が取れるようになってきたのかなと思っています。

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